今日はエレカシと数字について。
別に売り上げがどうのということではありません。
“あの風のように”を聴いていたら、
一、二、三で目覚めはじけてオーライ
エレファントカシマシ “あの風のように” 詞/宮本浩次
というフレーズがあって、
歌詞に数字が出てくるなあ、とボンヤリ思いまして。
慣用句っぽい数字でいうと、
3rdの「浮世の夢」に入っている“見果てぬ夢”は
人の思いは十人十色
エレファントカシマシ “見果てぬ夢” 詞/宮本浩次
という詞で始まり、
「町を見下ろす丘」の“流れ星のやうな人生”には
四の五の言はさず時は流れ
エレファントカシマシ “流れ星のやうな人生” 詞/宮本浩次
という詞。
≪四の五の≫という言い回し、なんとなく好きで、
普段もなんとか使いたい自分がいたりする。
使うと日常がちょっとエレカシっぽくなるというか。そういうのってないですか。
“一万回目の旅のはじまり”と曲のタイトルにも数字。
「MASTERPIECE」には“七色の虹の橋”。
“地元の朝”の最後は、恍惚とするほどうつくしい旋律に乗せて
七色の心に虹をかけて
エレファントカシマシ “七色の虹の橋” 詞/宮本浩次
と歌われます。
曲名だとほかにも、“四月の風”に“九月の雨”。
“四月の風”は、ライブで季節はずれの時期にやった場合は、
≪八月の風~≫などとその月の数字を当てはめてくれたこともありました。
街灯の影 二つ揺れる
エレファントカシマシ “夜の道” 詞/宮本浩次
”夜の道”の一節ではロマンチックな数字。
同じアルバム「悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅」で、
“悪魔メフィスト”の曲順はアルバムの最後13曲目。
この「13」という曲順は、悪魔にひっかけてあえて意図してやったと宮本さんが確かラジオで言っていたと思います。
“東京の空”には
俺には解るぜ 最後のチャンスは ああ100度も訪れた
エレファントカシマシ “東京の空” 詞/宮本浩次
という詞。
“I am happy”(「good morning」)には
いつもの人生1200人 どいつもこいつも生まれてきてから
エレファントカシマシ “I am happy” 詞/宮本浩次
というくだりがあり。
“I am happy”の≪1200人≫は、正直なところ意味はよくわかりません…
謎なんだけど≪でも死んじゃうのよ~≫のあと、歌うというより、早口でしゃべり倒してて(すごい早口!)、
ノイズだらけですごくかっこいいです。
そういえば去年末にフジテレビで放送された「THE ROCK STORIES」。
記者に「プロテストシンガーと言える人は何人いますか?音楽や歌で抗議をする人たちは何人いますか?」ときかれたボブ・ディランが、「136人ぐらいいる」と答えていました。
ちょっと違うかもしれないけど、宮本さんもときどき、
インタビューで不思議な数字を出すことがあるような気がします。
「やっぱりバンドと向き合う、自分と向き合うってことになってくると、嘘やごまかしはできなくなっちゃいますよね。もしかして830万枚くらい売れちゃったらまた調子にのってわかんなくなっちゃうかもしれないしれないですけど、ただ、俺はそうやってやってきたと思うんだよなあ!」
(bridge vol.38 summer 2003)
とは宮本さん談。アルバム「俺の道」のときのインタビューで、
渋谷さんの「文学的な技を禁じ手にしたんですか」という質問に対する返答です。
いろいろやりつくして一周して、また一からバンドでやるんだという時期で、
「嘘やごまかしはできない」というかなりシリアスな言葉なんですけれど、
「830万枚くらい売れちゃったら」というくだりが……ちょっとおもしろい。
おもしろいって、すみません、ほんとに真剣な決意表明なんですけど、
「830万枚」というセンスがたまりません。
熱く語ってるんだけれど、一瞬こんな「引き」というか、醒めてる感じが合間に入るのが、
なんだかとてもいいなと思うのです。
数字って使いようによっては不思議なニュアンスが出るんですね。
“東京の空”とか≪最後のチャンスは ああ100度も訪れた≫なんて、
切なすぎるというか、しかも契約が切れて、エピック最後のアルバムだとわかってると余計に、
でも、この≪100度≫が絶妙なタッチなのです。
現実を少し突き放してる感があって、
切ないんだけど悲しみにどっぷり浸り切らずに、
むしろうっすらユーモアさえ感じさせるところが、
エレカシらしくてとても好きです。
あとは、
”極楽大将生活賛歌”(「東京の空」)の≪1、2、3、ハイ!≫の掛け声が好きです。
≪ワンツーサンハイ!≫です。めちゃめちゃテンション上がります。