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ねぐら、寝る、寝ころぶ

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“さよならパーティー”の

ねぐらへ帰ればいつもの部屋で眠る
エレファントカシマシ「さよならパーティー」詞/宮本浩次

のところ。
ここ好きなんです。音が少なくなって、メロディがきれいで、ぐぁっと最後のサビにたたみかけていく感じが。



≪ねぐら≫という言い回しがいいです。
今まで何度も繰り返し聴いた曲なんですけど、突如、この≪ねぐら≫という言葉にはまってしまいました。

“赤い薔薇”にもねぐらが出てきて、

オレはビルの光り/見つけて帰る ねぐらへ帰る
エレファントカシマシ「赤い薔薇」詞/宮本浩次

とサビの部分に。
≪ねーぐらへ帰る≫というねぐらのハイトーンの歌いっぷり、しびれます。

あと“ハロー New York!”。
エレカシの曲の中でもかなり独特で、ブルースっぽいというのかジャズっぽいというのか、
超激渋な出だしから、後半、詩情に満ちたのびやかな旋律が美しく展開されます。
ボーカルの裏声が泣きたくなるほど魅惑的で、

俺のよ ねぐらは Tokyo City
エレファントカシマシ「ハロー New York!」詞/宮本浩次

というねぐらのフレーズも、世にも美しいファルセット。

「ねぐら」→「寝る」と連想して、エレカシの「寝る」。
“遁生”の最後のフレーズ

俺と一緒に寝てくらそう。
エレファントカシマシ「遁生」詞/宮本浩次

を思い出します。
それから”何も無き一夜”の

働いた 疲れて寝た
エレファントカシマシ「何も無き一夜」詞/宮本浩次

とか。
エピックの頃の倦怠感とか暗澹とした空気が、寝るという日常に重くのしかかっているようで果てしなくせつないです。

一方で

大したことはありゃしないさ/真実そのままでいい
エレファントカシマシ「寝るだけさ」詞/宮本浩次

と歌われる“寝るだけさ”という明るい感じの曲もあったり。
“友達がいるのさ”の

明日 飛び立つために 今日はねてしまうんだ
エレファントカシマシ「友達がいるのさ」詞/宮本浩次

の≪ねてしまうんだ≫という、後ろ向きのような前向きなような絶妙なニュアンスが本当に大好きです。

「寝ころぶ」というフレーズもときどき出てきて、
“おはようこんにちは”の

そこらの芝生に寝ころんで
エレファントカシマシ「おはようこんにちは」詞/宮本浩次

とか、
“今宵の月のように”の

いつまでも続くのか/吐きすてて寝転んだ
エレファントカシマシ「今宵の月のように」詞/宮本浩次

とか。

PVで寝ころぶ姿が見られるのは、“暑中見舞―憂鬱な午後-”。公園のベンチにごろり。
DEAD OR ALIVE”では、ベッドでタバコをふかしながらごろり。
孤独な太陽”にも一瞬。
”孤独な太陽”は久しぶりに見たんですけど、大きなマスク(人工呼吸器?)にちょっとびっくり。初めて見たとき、やっぱりびっくりしたのを思い出しました。

「ココロに花を」の“うれしけりゃとんでゆけよ”は、
いきなり歌いだしで寝ころんでて、すすむと

散らかった部屋の中に/お前からのメッセージ/しなやかに愛を語ろう
エレファントカシマシ「うれしけりゃとんでゆけよ」詞/宮本浩次

ときて、
あまーく展開するかと思ったら

うれしけりゃとんでゆけよ
(同上)

とくる。ツンデレ! たまりません(笑)

エレカシの「寝ころぶ」はしみじみといいです。すごくエレカシっぽい気がします。
寝てる(横になっている)んだけど、寝ていない、っていうのが、なんかいい。
やさぐれた感じとその裏の悲しみがにじみ出ているというか。にじみ出てるけど、湿っぽくないのがいい。

単行本の『東京の空』に、“ベッドの無い生活”という随筆があります。

ベッドを捨てたことについて書かれたものなんですけど、この話、ものすごく好きなのです。
十年くらい使ったベッドを捨てた→かつてはふとんを使って上げ下ろししていた→忙しくなって万年床→ベッド購入→でもふにゃふにゃになって捨てた→今は床に寝ている→寝ても疲れがとれない→ふにゃふにゃのベッドも重要な役割を果たしていたんだと気づく……というお話です。
床に寝てるって……新しいベッドを買って入れ替えればよかったと文中で後悔されてましたが、
初めて読んだときは、「床に寝てる!?」とすごく驚いた覚えがあります。
もう嫌になったら嫌! という感じだったんでしょうか。
いたってまじめにベッドを捨てた話がつづられているのですが(深読みしようと思えばいろいろできそうな話で、多分かなり暗示的に書いてあると思いますが)、
突然

読者よ。俺はあなたには床に直に寝ることを推奨しないであろう
宮本浩次「東京の空」

という一文。すごいオチです。このセンス、さじ加減がすばらしいと思います。こういうところが妙に好きです。

—–
野音後の燃え尽き症候群にやられてぼーっとしていたのですが、
気が付けばテレビにラジオ、雑誌などなど、怒涛のプロモーションが展開されつつあるようで……
全然追いつけてません!
「あなたへ」のMV、ずっと見れてなかったんですけど、
今朝、めざましテレビで、ほんの少しですが流れて、初めて見ることができました。
!!! すばらしい。光。陰影。影がいい感じ。透明感とみずみずしさのある素敵な映像でした。
今日はJAPANとPAOが入手できたので、これからじっくり読むことにします。

泉谷しげる泉谷さんもエレカシのことをとても好いてらっしゃるようで、イベントで共演したり、テレビ番組に宮本浩次をゲストで呼んだり、そのたびにブログで...

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