できればしたくない。と思っていてもついしてしまうのが言い訳で。
無意識に言い訳していることも多々あったりする。
ああ 無理を承知でまた
繰り返されるしかばねどものいいわけ
Ah 生まれたときから そういいわけばかりさ
Ah 生まれたときから そうさ
エレファントカシマシ “奴隷天国” 詞/宮本浩次
“奴隷天国”の一節。
日々言い訳にまみれている私としてはとてもギクッとし、
はい、まことにその通りでございます、とひれ伏すしかない痛恨のフレーズです。
でも、どうしてか、この曲は聴いてるとスカッとします。痛恨にして痛快な一曲。
かまわねぇ なんでも来いの心意気も
本当かよ 新しい言い訳か 浮世の姿
エレファントカシマシ “浮世の姿” 詞/宮本浩次
同じ『奴隷天国』から“浮世の姿”。
えぐってるなあ、えぐってる。
≪心意気≫すらも≪新しい言い訳か≫と問いかけて、
熱い気持ちも醒めた目で俯瞰する。このもがき苦しみよう。
『good morning』の“生存者は今日も笑う”では、
言い訳 身の保全
エレファントカシマシ “生存者は今日も笑う” 詞/宮本浩次
というつぶやきがあります。まさにつぶやき。
寝ても醒めても
(同上)
という熱を帯びた一節の裏腹、
ぼそっと、静かに低い温度で言い置かれる≪言い訳≫。
このへんのフクザツな絡み具合がとても印象的な曲。
とどまらないオレのこの生命力 言い訳・弱体・卑屈・妄想・祈り・怠惰・退屈・無知・・・
エレファントカシマシ “勉強オレ” 詞/宮本浩次
これは『俺の道』の“勉強オレ”です。
≪生命力≫の流れから≪言い訳≫や≪卑屈≫といったマイナスの言葉たちが連発されるのがいい。
言い訳じゃなく誤魔化しでもないラスト・ゲーム 勝負したいよ
エレファントカシマシ “ラスト・ゲーム”
これも『俺の道』からで、“ラスト・ゲーム”のフレーズ。
同じフレーズが繰り返し出てきて、でも後のは≪勝負しなよ≫になってる。
もうひとつ『俺の道』から、
言い訳するなよ おのれを愛せよ
エレファントカシマシ “季節はずれの男” 詞/宮本浩次
“季節はずれの男”ですね。
短いけどたまらんフレーズです。四の五の言いません。すごい。
『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~』の“旅”にも
ぶざまなツラで言い訳なんかしたくないのさ
エレファントカシマシ “旅” 詞/宮本浩次
という言い訳の名フレーズが。
ぶざまという言葉をこれほどかっこよく歌える人が他にいるんだろうか。
最新作『MASTERPIECE』からは“ワインディングロード”。
ワインディングロード
目的はどこにある?
働き 暮れゆく日々
言い訳吹き飛ばすため スピードをあげる
エレファントカシマシ “ワインディングロード” 詞/宮本浩次
ふと気になって「言い訳」と出てくる曲を、発表順に並べてみました。
突然、6枚目の『奴隷天国』から≪言い訳≫という言葉が出てくるのです。
『俺の道』には3曲も。
同じ「言い訳」でも、その時々で微妙に文脈が違うのがおもしろい。
諦念とそこからの破壊と再生を思う“奴隷天国”の≪いいわけ≫。
≪生命力≫として≪怠惰≫や≪卑屈≫と並列された“勉強オレ”の≪言い訳≫。
言い訳のない、後悔のない生活を送りたいと願いながら、なかなかそうはいかない日々の暮らし。
そのあたりを作り手はすべてお見通しで、
作者自身が実感としてしみるように感じているから、
“勉強オレ”や“生存者は今日も笑う”や“季節はずれの男”や”ワインディングロード”の
リアルな「言い訳」の切なさがあるんだろうという気がします。
年を重ねれば重ねるほど、笑いにまぎらせ言い訳が上手になっていく私には、
それだけに“旅”の
≪ぶざまなツラで言い訳なんかしたくないのさ≫
ってところがグサグサと刺さってしまうのでした。
だからエレカシを聴いてしまうんだな。
