10月14日大阪野音のセットリスト(EKDBさんより)
1. 歴史
2. 新しい季節へキミと
3. 四月の風
4. 悲しみの果て
5. めんどくせえ
6. デーデ
7. 涙を流す男
8. はてさてこの俺は
9. 秋―さらば遠い夢よ―
10. シグナル
11. なからん
12. 風に吹かれて
13. パワー・イン・ザ・ワールド
14. 武蔵野
15. 大地のシンフォニー
16. あなたへ
17. 旅
18. 世界伝統のマスター馬鹿
19. 生命賛歌
20. ズレてる方がいい
21. 俺たちの明日
アンコール1
22. 友達がいるのさ
23. 今宵の月のように
24. 笑顔の未来へ
25. さよならパーティー
26. so many people
27. ガストロンジャー
28. ファイティングマン
アンコール2
29. 涙
30. FLYER
31. 待つ男
ライブレポ
・宮本さん→白シャツ。石くん→グレーの半袖T(髪→赤と緑)。成ちゃん→黒シャツに黒ハット。トミ→紺シャツ。
・1曲目の”歴史”。イントロ、成ちゃんのベースが入り、客席がオォ~とざわめく。
最初、石くんの「赤と緑」が妙に気になったけど、でも曲にどんどん引き込まれる。1曲目の”歴史”はやっぱりいい。映える。2011年の日比谷を思い出す。
・宮本さん、ギター持って弾く曲でも、ギターを弾かずに、歌いながらの手ぶり身振りがすごく多かった。その過剰なまでのジェスチャー、演者の気持ちが伝わってきて嬉しかった。”四月の風”の時に、なぜか顔の横で両手でVサインをしたのがカニみたいで、ちょっとおもしろかった。
・”涙を流す男”。イントロの、トミがコンコンコン…とリズムをきざむ→宮本さんギターかき鳴らす→成ちゃんのベースソロ。ここしびれました。いいアレンジ。かっこよかった。
ミッキーのギターソロがまたものすごくて、このスライドギターで曲のテンションが一気に上がる。ソロが終わってボトルネックをはずしアンプの上に置くしぐさもスマートで男前でした。
・”はてさてこの俺は”。前半部分、日比谷の時は弾き語りだったけど、今回はバンドでアレンジされていた。トミがスネアの縁の金属を叩いてコンコンという音を鳴らしてるんだけど、ペーソスがあって、曲によく合っていた。アレンジされて、曲がよりチャーミングになってたと思う。
・” 秋―さらば遠い夢よ―”。透き通るようなあたたかい宮本さんの歌声が、暮れかけた大阪の空に吸い込まれる。宮本さんの口笛。後ろで待機しているトミが、テンポをとりながら首を振ってて、なんかいいなーと思った。
「ライフ」レコーディングの頃を思い出してか、MCでNY同時爆破テロの話をしていたのもこの曲。大阪城公園はあんまり歩いたことないけど博物館には行ったことがある、とか。
・どこかのMCで、実は自分は面白いことあんまり言ってなくて、石くんの方が面白いことを言う、と宮本さん。石くんの髪の色のことに触れ、昨日は半分金髪だったけど、今日は緑に…気合い入れてます、みたいな感じで。宮本さん、ここで石くんにマイクの方を指さすようにさりげなく誘導(なんかしゃべれば、みたいな)、で、石くん「ありがとうございます」。うつむき加減の宮本さんがここでニッと小さく笑顔(一瞬)。
・石くんのヘドバン。赤緑の長髪が上下に左右に乱れて、歌舞伎の連獅子みたいだった。
・≪なからん≫の曲。裏声ではじまり、途中地声で歌われ、サビは裏声のひりひりするような絶叫。1曲の中でいろんな歌い方。
・”武蔵野”。≪あなたのやさしいうたも全部幻≫のあたり、スモークが大量に出ていたのか、ステージ上が白くもやっていて、本当に幻のようだった。
・”あなたへ”。曲の前に「金があればいいと言っていた人が≪わたし≫とか≪あなた≫とか歌うようになって。成長しました」という意味あいのことを言っていた。「思っていることをそのまま歌にした」というようなことも言っていた。
・≪世界伝統のマスター馬鹿≫と歌う、その≪ぶぁーーーか≫という不遜な憎々しげな歌いっぷりがすばらしい。エレカシはこうでなくちゃ。この曲の時、強い風が吹いて、白い煙が舞台上で大きくうねって、めちゃくちゃかっこよかった。
・”生命賛歌”。≪生活の音が≫のところで耳に手をあてていた。≪「オ・レ・ニ・チ・カ・ラ・ヲ」「オ・レ・ニ・ユ・ウ・キ・ヲ」≫のところで、手のひらを上にして、小指から1本ずつ折る「カモン」みたいなしぐさ、逆光のシルエットで超絶にかっこよかった。
・”ズレてる方がいい”。最初の歌部分が終わってバンドの音が入る時の、客席のハジけ方がすごかった。「待ってました!」という思いがここで炸裂したみたいに一気に沸いた。
・”友達がいるのさ”。2番は≪大阪中の電気を消して≫と大阪に変えて。
曲の途中で宮本さんが石くんをヘッドロック。相変わらず石くんはされるがまま。挙句、石くんの頭は赤緑。
もうなんか笑えてくる。笑いながら、ちょっとほろっとする。ヘッドロックで泣けるなんてどうかしてると思うけど、”友達がいるのさ”はそういう曲なんだな。エレカシはそういうバンドなんだな、と思う。
・”今宵の月のように”の≪ポケットに手を突っ込んで歩く≫の部分でいつもやるポケットに手をつっこむしぐさ、いつもよりアピールしている感じがちょっとおもしろかった。
・1回目のアンコールの時、”so many people”のイントロをちらっと弾いたので、やるんだ!? と思って嬉々としていたのに、別の曲をやったので、今日はやらないのか……としょげていたら、その次が”so many people”だったので異様に盛り上がった。焦らされたのか。
・”涙”。ストラトで弾き語り。ぱっと、さっと、ためずに歌った。それがよかった。うーん。この曲をやるとは…感無量。2回目のアンコールの最初という、曲の流れもとてもよかった。
この曲の前だったと思うけど、宮本さん「ようやくプロになれました」と。
・「病気に甘えちゃだめですね」「これからも厳しくやさしく見守ってください」というようなことをアンコールのどこかで言っていた。
・”待つ男”。最後はシャツの脇がぱっくり裂けてた。
曲の途中で、宮本さんは「エレファントカシマシをよろしくお願いします」と絶叫していた。
赤い照明に包まれた燃えるようなステージを見てると、もうなんなんだ、この人たちはと思ってしまった。日比谷や大阪1日目のセットリストから、今日の最後は”待つ男”だろうなあとなんとなくわかってはいたのに、なのに、やられてしまった。最後の最後に一体どこからこのパワーは出てくるのか。たぎるようなエネルギーに圧倒されて微動だにできなかった。
≪何をあわてて ぶざまにこける≫≪富士に太陽ちゃんとある≫
エレカシのこれまでの来し方を、そしてこれからを全身全霊で表現していたのがこの日の”待つ男”だったような気がする。
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昨日の大阪は、雲ひとつない青空、とてもいいお天気でした。
ライブ中もずっとさわやかな風が吹き抜けて、ほんとに気持ちよかったです。
「復活の野音」の千秋楽にふさわしい、すばらしいコンサートでした。
私は、とんでもないものを見てしまった。いやー、ほんとにとんでもないものを見てしまいました。すごかったです、大阪野音。
思えば、前半はわりといつも通り進んでいたと思うのです。宮本さん言うところの「プロの歌と演奏」。
潮目はやっぱりあの曲だった。”生命賛歌”。
イントロの切り裂くようなギターリフが流れた瞬間、びっくりして(この曲やると思わなかったので)、うれしくて、でも客席は最初はわりとおとなしめだったんじゃないかと思います。
それが、宮本さんの太く力強く響き渡る歌声、メンバーの渾身の演奏を目の当たりにして、客席が徐々に白熱していくのが、ありありとわかりました。
ステージ上の熱が客席を包み、客席の感動がまたステージに跳ね返ってさらにボルテージが上がっていく。宮本さん叫ぶ、客が食らいついていく。その応酬。
曲が終わった時は爆発するような拍手。あちこちから「かっこいいー」という声が漏れていました。
あの”生命賛歌”は奇跡だったと思う。奇跡というと大げさかもしれないけれど、ちょっとそんな感じの瞬間でした。何かが降りてきたんじゃないか、というぐらいの。誰も何もコントロールできない何かが、あの”生命賛歌”には宿っていた気がします。
でも、この奇跡の”生命賛歌”が生まれるまでには、それなりの流れがあったんだな、と今になって思います。
その前の”世界伝統のマスター馬鹿”や、やるたびに進化していく新曲群、”武蔵野”、”大地のシンフォニー”、それまでに演奏された曲によって充満していた熱気が一気に”生命賛歌”で炸裂したという感じ。
そうそう見れないです、あんな”生命賛歌”。あーびっくりした。もう≪吃驚したぜ。≫です。あんなことってあるんだなあ。今までライブに行った中で、1、2を争う感動的な体験でした。
大阪城野外音楽堂。昨日、あの場にいれて幸せでした。
エレカシのライブは、こんな感じだろうな、という予想をいつも楽々と超えてきて、
今までで最高だった! と毎回ライブの記憶を書き換えてくれるけど、やっぱり今回もそうでした。
「復活」どころの話ではなく、もうどんどん前に向かって走っているエレカシの皆さんで、私はもうそれに無我夢中でついていくしかないとしみじみと思わされた今回の野音でした。
開場待ちをしていた時に、”武蔵野”っぽいなと思って撮った野音の裏の木々。
大阪でやった”武蔵野”も、ほんとに最高でした。

