今さらですがROCKIN’ON JAPAN 11月号にエレカシ復活の野音の記事。
高橋美穂さんによるライブレポート2ページと、山崎さんによる宮本さんへのインタビューが3ページ。写真も含めると全8ページ。
読んでてこっちまでうれしくなってくるような、野音の興奮と喜びがそのまま会話に転写されたようなインタビューでした。
選曲については、王道の曲をたくさんやりたかった、と言っていました。
エレファントカシマシの王道。そういうテーマがあったんですね。
去年の野音を思い出すと、『浮世の夢』から3曲あり、あとは“月の夜”があったりして、
そういう意味では去年はいわゆるエレカシの野音っぽかったんですけど、
コンサート後のインタビューで、
「ほんとに歌いたい曲だけを選んでいったら結構やっぱりそういう青年時代の、家の中に引き籠もりっていうのかな、わかんないですけどそういう時の精神状態の歌が多かった」
(bridge vol.73 Autumn 2012)
と宮本さんは語っていました。
歌に生々しい心もようを映した去年の野音から約1年の休養を経て、
王道の曲をやるのだと準備された今回の野音。
選曲時の心境の変化をみても、ほんとに元気になったんだなと思えて、何より、王道の曲をやるんだという心意気がうれしいし、それが野音での見事な復活劇として結実して、ほんとによかったと思いました。
こちらはRO69のこの号のエレカシ記事を紹介するページ。
http://ro69.jp/news/detail/89783
この中でも引用されていますが、私が一番心に残ったのは、
今回の野音は、演奏以外に感動的な何かが生まれたかっていうと、それは一切なかったと思う、プロのエレファントカシマシが歌と演奏をみんなの前で見せていた、と語っていたことでした。
私はスクリーンを通じてですが、観ていて本当にそう感じました。
まさにプロのエレファントカシマシの歌と演奏をまざまざと見せつけられた気がしました。
病気、休止期間、復活……という物語に浸ることなく、
淡々と歌と演奏に徹していたメンバーたち。淡々と、というのは語弊があるかな、もう、余計な演出は一切なく、とにかく曲をみんなに届けるのだという思いがひしひしと伝わってきました。
観ている側が感動を受けなかったわけではもちろんなく、
演者はただひたすら演奏し、歌っているわけで、こっちは夢中で見ているし涙さえ流していましたから、
そういう意味では「感動的」ではあったんですけど、
なんていうのかな、全体的な空気としてウェットではなかったというか。
悲しいときには涙なんかこぼれない
うれしいときには肩怒らせ世を笑うさ(エレファントカシマシ “涙”)
ファンになりたてで、いろいろ曲をさかのぼって聴いていた時、
この曲のこの部分で、私がエレカシを好きな理由が少しわかった気がしました。
エレカシに惹かれる魅力がこの詞に凝縮されているような気がしました。
浸ってないんです。こう書くと身も蓋もないですけど……悶々や絶望を歌っても、浸ってない。喜びを歌っても、決してそこにとどまらない。
エレカシを好きな理由は、箇条書きにするといくつも書けるけど、
もちろんミーハー部分もたっくさんあるけど、
箇条書きの筆頭に出てくるのは、やっぱりこういうところだったりします。
“復活”という物語に寄りかかることなく、無心に歌と演奏に徹していたあの日の野音は、それに近いものがありました。
ファンになりたての頃に”涙”を聴いていいなと思った感覚と、2013年の野音で受けた印象が全然変わってなくて、それがうれしかったし、やっぱりこういうところがすごく好きなんだよなあ、とあらためて思いました。
……という感じで、ファン初心者の頃をなぜか思い出させてくれた今回のJAPAN記事でした。
エレカシさんの場合、“感動的なムード“なんてなくても、
歌が、曲が、メンバーのたたずまいが、4人の奏でる音楽が、それだけで涙腺をつっついてくれますので、結局は感動しちゃうんですけど。
演者が泣かせようと思わなくても、観ている側は泣いてしまう。でも、だから泣いちゃうんだな。まったく罪な人たちだと思います。
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今年はじめにNHKで「亀田音楽専門学校」という番組をやっていたんですけど、
昨日からまた新シリーズが始まりました(木曜日の午後11時25分~)。
音楽プロデューサーの亀田誠治さんがホストを務める、
-『「あの歌のサビはなぜ泣けるのか?」「あの歌のイントロはなぜ気分がアガるのか?」
時代の先端を走る音楽プロデューサー・亀田誠治さんが、J-POPのヒット曲に隠された音楽の秘密を解き明かします!』
という趣旨の番組で、昨日の「おもてなしのイントロ術」をさっそく見たんですけど、面白かったです。
亀田さんは、“桜の花、舞い上がる道を”や“新しい季節へキミと”、“おかみさん”でエレカシと関わった方ですね。
歌で始まる椎名林檎の“ここでキスして”が紹介された時、歌始まりの曲だったらエレカシいっぱいあるぞ、とか、そんな感じで、ついついエレカシと重ねて見てしまいました。
昨日の分は、10月10日(木)の0時30分~午前1時(水曜深夜)に再放送があるようです。
