追体験(ブートレグBOX-ライブの息づかい)

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“悲しみの果て”以降のファンである私は、それ以前のエレカシを知りません。
名前だけは知っていたけど面白いバンド名だな、というぐらいで、
その頃は他のバンドに夢中だったり、音楽自体から離れたりしてました。



CMで“悲しみの果て”を聴いていい曲だなと思って、
でもまだがっつりファンというまでには至らず、
何がその先に押し進めてくれたかというと、一冊の雑誌でした。
もう雑誌の名前も忘れてしまったし、多分廃刊になってるような雑誌です。
音楽誌じゃなくて、総合誌っていうんだろうか、
いろんなジャンルの記事が載っている雑誌でした。
それをたまたま買ったら、エレカシの記事が載ってて、
エレカシのそれまでのバンドの歴史を織り交ぜての記事でした。
詳しいことは覚えてないんですけど、
その記事で俄然エレカシというバンドに興味を持ちました。
ひとつのバンドが、鳴り物入りでデビューしたものの、
ほとんど売れず、挙句には契約切れとなり、しかしまた再デビューし活躍している、
というバンドの物語っていうんですかね、そういうのに心引かれるものがありました。
それからライブにも行くようになり、熱を上げたり下げたりまた上げたり、今に至るわけなんですけど、
(前置きが長い)
今回のブートレグBOX、一通り聴き終えて、何度か繰り返し聴いて、十数年前に感じたそれと同じものを感じました。
CD6枚にバンドの物語が詰まってるなあと思って。
ライブ盤なので、息づかいや、コードの間違い、歌詞の間違いもまるでそのまま、
だけどそれだけに当時の空気を生々しく伝えてあまりある。
特に95年頃、契約切れの頃の音源というのは、初めてだったので、
はあー、こんな感じだったのか、としみじみ感慨深くて、
「もっとやれー」「めちゃめちゃやってくれー」という掛け声、
それに応えて新曲を披露するエレカシ、またそれにかぶさる観客の歓声。歓声だけでぞくぞくする。
エピック時代の野音は、最近のとはまた違う、というか、曲と演者たちの距離がより近い、当時の生々しさで迫ってくるし、
Disc4は、ユニバーサル移籍後の野音、“俺たちの明日”が2回演奏された2007年の野音。
Disc5の武道館は、その場所だけで物語のあるエレカシ。2daysできた時期もあれば、長いインターバルもあった武道館。Disc6のフェス出演の歴史。動員が落ちてステージが小さくなってもひたちなかに出続けたエレカシ。

このBOX。楽しみではあったけど、
録音状態悪いのかもなあと思って、そのあたりはあんまり期待してなかったのです。しかし。
懺悔しないと。
録音状態は全然大丈夫だったし、そういうちまちましたレベルで語れるようなバンドではなかった!ということがよくわかりました。
BOX、こんなにいいとは思わなかったです。
狭いライブハウス、森の中の野音、広々としたひたちなか。場所場所で、音の響き、広がり方が違っていました(当たり前か)。
実際には行っていないライブ会場にも、CDを聴いているだけで、
その場に、客席に立っているような錯覚に陥ったりしました。
短く挿入されるMCも、CDの流れの中でとてもいいアクセントになっていて、
そういうのも含め、たくさんある音源の中から、あれがいいか、これがいいか、
本当に時間をかけて、愛情を降り注いで、厳選を重ねてくれたんだろうな。
一通りCDを聴き終えてから、また解説を読んで、あらためて感無量、まだまだ繰り返し聴くことになりそうです。

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今日、PAOが到着しました。あの方からのコメントが!(涙) そして今回は左上。
これからじっくり読みます。

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