去年、再結成して話題をかっさらい、
CDの売り上げもライブの動員もハンパなかったプリンセスプリンセス。
そのボーカルである奥居香(岸谷香)さん司会の音楽番組「P-STOCK」に、
宮本さんが出演したことがありました。
クイズに答えられたら、ゲストが欲しがっている品物がもらえる、というコーナーがあり、
クイズのお題は宮本さんお得意の森鴎外。
賞品はアクアラインの通行回数券と3万円のハイウェイカードでした。
宮本「僕、最初の月に8000キロ乗りました。8000キロ」
奥居「すごーい」
宮本「それでツアー中にね、あるでしょ、レンタカー」
奥居「ツアー中にレンタカー?」
宮本「そう。なんだっけ、熊本から広島まで車で移動。(ここで○キロ出したという話が入るがピーの効果音)、メンバー乗せてるもんだから」
奥居「メンバー乗っけてるんですか?」
宮本「メンバー怖いもんだから、最初の30分ぐらいで寝ちゃって、危ないもんだから。その足で島根だっけな、森鴎外記念館ていうところに僕は行ってるから。熊本から広島の間に。だから完璧です、知識として。森鴎外の生まれた家まで見学してますから僕は」
奥居「じゃあバッチリですね」
宮本「バッチリです」
「P-STOCK」2000年9月22日
鴎外クイズに自信満々の宮本さん。
1問目は、森鴎外のヒゲは次のどれ、という三択問題で、
ちょびヒゲみたいなのも交えて、小道具のヒゲが3つ宮本さんの前に差し出されました。
これに対し、答えはこの中のどれでもない、
なぜなら森鴎外はもう亡くなってるから、と真顔で答える宮本さん。
ええ~!?と絶句しつつも、じゃあ、一番似ているものはどれ、と切り返す奥居さん。
このヒゲ問題は難なく正解していました。
ほんとはこれ(ちょびヒゲ)にしたかったんだけどね、
(ハイウェイカード)欲しいからね、と真剣さをアピールする先生。
次は「森鴎外のドイツ土産三部作とは」というもの。
宮本さん、『舞姫』『ふみづかひ』と2つ挙げたまではいいのですが、
最後のひとつが出てこず、うなりながら床にたおれこんでしまいます。
宮本「ど忘れしてんですね、僕ね。『舞姫』『ふみづかひ』もういっこ……なんだっけな、ヤベえ。『舞姫』『ふみづかひ』……『舞姫』なんか僕すごく好きでねえ」
奥居「と言いながら考えてますね(笑)」
宮本「なんだっけ。ほんとに忘れちゃった。(題名が)長い?」
奥居「タイトルが『舞姫』『ふみづかひ』よりは長いですね」
宮本「……(頭かきむしる)」
(同上)
正解は『舞姫』『ふみづかひ』『うたかたの記』。
結局答えられず、宮本さんは賞品を逃してしまいます。
宮本「僕ね、もう1回ゼロから勉強してきます。もうちょっと予習してくればよかった。僕はね、情けない。しょぼん」
奥居「初めてですね、クイズの賞品を持って帰らない人って。くやしいでしょう?」
宮本「くやしいけどね、これは僕が悪かった」
奥居「じゃあとっても残念でしたけど」
宮本「残念でしたほんとに」
奥居「持たない方がいいかもしれない、このカード。ブーッと飛ばして、免許がなくなっちゃう可能性もあるんで、これは不幸中の幸いってことで」
宮本「すいません、ありがとうね。次がんばります」
(同上)
宮本さんが「しょぼん」と言ってるあたりから、
ほんとに沈んで打ちひしがれているので、
奥居「見てるとね、なんかかわいそうな感じがしてくるんですね」
宮本「『かわいそうな感じ』ってアナタね!そんなことないんだよ(笑)ま、(カードを)目の前にしてね……」
奥居「そうそう、目の前にニンジンぶら下げられてるのにって感じがして」
(同上)
……と見かねた奥居さんがすかさずフォローしてました。
そのあと当時ポスターにもなっていた檄文のことに話はうつり、
宮本さん曰く、これは、デザインも自分でやったらしい。
奥居さんもあの文章を読んで大変感激したそうです。
それから、檄文を宮本さん自身が読み上げていました。
夢中になって読んでいる宮本さんを、にこにこしながら見ている奥居さん。
読み終わった宮本さんは、
少し照れながら「好きなんですね、こういうもの書いたりするのがね」と言ってました。
そう言えば「ハッピーMUSIC」にエレカシが出て、
ベッキーと利き茶対決(安いお茶と高級品のお茶を当てっこする)をやったときも、
宮本さんはベッキーに負けてしまって、頭を抱えてました。
『うたかたの記』を答えられなかった宮本さんは、なんとも悔しそうでした。
島根まで車飛ばして森鴎外記念館にも行ってきたんだと、
自信たっぷりだっただけに心底「しょぼん」の表情でした。
まさかこの数年後に“歴史”という曲で鴎外のことを歌うことになろうとは、
宮本さん自身もきっと知るべくもなかった、2000年のお話でした。
「歴史」が収録されているのはアルバム「扉」です。