この間の土曜日、ラジオ「ウィークエンド・シャッフル」の伊賀大介さんご出演回、聴きました。
もう1回聴こうとポッドキャストのページに行ってみたけど、アップされてなかったです。
今回はアップされてなかったのかな……すみません。
伊賀さんの映画の話、面白かったです。
昔、マット・ディロンにあこがれてとにかくネルシャツを着てたとか、
映画に登場する黒スーツにあこがれて、洋服の青山みたいなところで喪服を買って、
気合いたっぷりに映画館に着て出かけていったとか……
スタイリストになろうと思ったのは、何より映画の影響が大きかったんだそうです。
例に挙げてた映画は、男くさい感じのものが多くて、なるほどーと思いました。
最後に、「ローマの休日」の衣装について話してたんですけど、
あの映画は1日の話だから、ヘプバーンの衣装自体は変わらない、
でも、スタイリングに注目してみると、
たとえば、最初はシャツのボタンを1番上まで留めてたのが、
襟元を開けるようになり、スカーフを巻くようになり、
シャツの袖をまくるようになったりして、
ヘプバーンの成長に沿うようにして、スタイリングが微妙に変わっている。
王女として着るドレスも、最初は「着せられてる」感じだったのが、
最後のシーンでは、大人のレディになってちゃんと着こなしている。
……というようなことをお話しされていて、面白かったです。
映画の衣装って奥深いんですねえ。
伊賀さん、「風立ちぬ」を見たそうで、すごくよかった、とこのラジオで言っていました。
この映画、私も観まして、よかったです。
なんとなくエレカシ的なにおいのする映画だなと思いました。
私はなんでもすぐエレカシにくっつけて一人盛り上がるオメデタイ性分なので、
なんともいい加減な感想なんですけど(笑)、
でも、ちょっとそういう感じがありました。
(ちょっとネタバレします)
まず、主人公の堀越次郎の髪型がバサバサです。
すごいバサバサではないですけど、ぴっちり整えた髪型ではなくて、ほどよいバサバサ感です(笑)。
それから、次郎の飛行機の設計に向ける情熱というのが、やっぱりすごかったです。
サバ定食を食べながら、サバの骨の曲線が美しい、と次郎がほれぼれ骨を見つめるシーンがありました。サバの骨を見ても飛行機の設計に思いをはせてるんですね。
ここよかったなー。ここ見て、先日のエレカシドキュメンタリー映画の、宮本さん自宅シーンを思い出しました。
パソコンに向かって、黙々と創作にはげむ宮本さんの後ろ姿。
カメラのこっちにいる監督(?)に、歌詞か何かの説明をしているうちに、突然歌い始めて、曲の世界に没頭、もうカメラも監督の存在も忘れてしまっているかのように。
JAPANの9月号のインタビューで、宮本さんが「無心なところに行くための労力」と言っていました。それが中年になると難しい、というお話でしたが……
「無心」に対して「労力」という言葉をあてるのが、すごく新鮮というか……いつの間にか行けるわけじゃないんですね。無心。何かを積み重ねて意識的に骨を折りながら行くのが「無心」という境地なんだろうか……深すぎてもはや私には難しい。難しいけど、かなりぐっとくる一言でした。
でも、サバの骨のシーンにも、そういう「無心」を感じたのかもしれません。
無心というか、何かに没頭している姿というのは、やっぱり胸を打たれたりするもので。
没頭できる何かがあること自体が人を輝かせるし、ひいては、そういう何かを自分でも見つけたいと思っているからかもしれません。
マキタスポーツ氏だったか、ドキュメンタリー映画の中でエレカシについて「イノセント」と言っていたと思いますが、
当の本人は、無心なところに行くのは労力が必要で中年になると難しい、と言ってて、その両者のギャップが面白いなーと思ったけど、
でも、そういうところに自覚的だからこそ「イノセント」を感じさせるんだろうな、とも思いました。
「風立ちぬ」のエレカシ的におい、
髪型かよ!と自分でも思いますが、それだけじゃなく、いろいろ感じるところがありました。
タイトルにも「風」。
堀越次郎があこがれるイタリア人の飛行機設計技師のカプローニの声が、
どっかで聴いたことがあるなー、しかも、かなり鮮烈に聴き覚えがあるぞと思いつつ、
最後まで誰だかわからなかったんですけど、のぼう様の野村萬斎さんでした。
