何度このDVDを観たか知れない。
映像の最初は開演前の舞台裏から始まる。
薄暗いステージ袖でスタッフの合図を待つメンバーたち。
エレカシのライブには珍しいド派手なSEが客席をあおっている。
客電が落ち、観客がワーーー!と歓声をあげる。
(つられてワーーー!)
宮本さんがメンバーひとりひとりと握手し、ステージに送り出してゆく。
最後に宮本さんが舞台に向かう。
ステージにメンバーが揃い、
始まった曲は「新しい季節へキミと」。
(この曲で始まるんだ、ワー!)
アコGメインのイントロが終わると、
バックのストリングスチームが明るく照らし出される。
弦がぶ厚く重なったゴージャスな曲でエレカシの武道館が始まる!
(ワー!ワー!)
……カッコ内は私の心の叫びです。
自分でも呆れますが、毎回毎回、観るたびにこのリアクションであります。
本当に何度観ても飽きません。
思えば2001年の武道館。
明らかに動員は落ちていた。
それまで2daysあった武道館が1日だけになった。
宮本さんも言っていたけど、サイドの席が埋まらなくてシートで覆われていた。
来年は武道館無理かなと正直思ってさみしかった。
その後、エレカシはほとんどメディアに出なくなって、
(ジャパンとかのインタビュー記事には出てたけど)
宮本さんの雑誌連載も全部終ってしまった。
個人的にはそれと呼応するように、エレカシ道のテンションが落ちてしまって(薄情だな)、
ライブの案内くるし、チケット楽に取れるし(哀)、
ま、行っとくか、という感じ。
ファンクラブの会報で、新曲のお知らせがあった時は、
「化ケモノ青年だって?!」とか「勉強オレ???」みたいなリアクションはしてたけど、
まあ、エレカシを前にしても割と落ち着いた時期でございました。
そののち、「町を見下ろす丘」でぱちーっと目が覚め、
2007年の野音で駄目押しされ、
頼まれてもいないのにオチのないエレカシ漫談を繰り広げるという、
現在とほぼ同じ温度にまで復活いたしました。
2009年、武道館をやることになった、と聞いて、
嬉しいのと、大丈夫なのかな埋まるのかな、という気持ちが半々だった。
4枚申し込めたので、全部頼んで、どうにか人を集めて4人で観に行った。
席は2階席だったけれど、南側のステージ真正面。
即完だったことは承知してはいたけれど、
席についてもほんとに大丈夫かな、満杯になるかなとドキドキして落ち着かなかった。
始まる前が一番緊張しました。
8年ぶりの武道館。とても素晴らしかった。
客席は満員。
シャララや男は行く、珍奇男などの激渋の古いナンバーと、
ハナウタや笑顔の未来へなどといった、移籍後の新しいポップな曲とが絶妙に順をなす、
最高のセットリストだった。
私は本当のところを言うと、ライブを楽しみながらも緊張が解けなくて、
終演した時には、何か一大行事が終わった後のような感覚というか、
ふーっと腰が抜けたみたいになってしまった。
2曲目が「この世は最高」で、その次が「未来の生命体」だった。
手あたり次第に夢をつないでやってりゃいいんだ
明日もあさってもくたばりゃしねぇぜ
(エレファントカシマシ「この世は最高」)
でも停滞と病癖て今
自ら堕ちてゆくわが身を見る好条件
(エレファントカシマシ「未来の生命体」)
アンコールでは「風」、「流れ星のやうな人生」と続いた。
宮本さんは声を嗄らせながら高音をふりしぼる。
いつか通ったとおりを辿り来た気がする
「いいのかい?」なんてさ 「いいのかい?」なんてさ
(エレファントカシマシ「風」)
遠い空からおちてきた 流れ星のやうな人生
何でぇ、行きあたりばったりだね びっくりすることばかり多かった「今の自分を信じてみなよ」
流れ星のやうな人生(「流れ星のやうな人生」)
エレカシの来た道を歌っているのだなと思った。
あの日、ライブの最中に気がついたわけじゃなく、DVDを繰り返し観てそう思った。
そういう意図が実際あったかどうかわからないんですけどね。
エレカシ熱も重症になると、こうやって思いこんで、一人で感激してしまうようになるのです(笑)
ライブのあいだは昂揚状態にあるので、
まったく私は細かいことを覚えられません。
ライブ後は、ただ漠然と「よかった~~」と口半開きで惚けるのが常です。
ライブ中にみたこと感じたこともろもろを毎回箇条書きで覚えていられたら!と本当に思います。
目に録画できるカメラと耳に録音できるマイクがついていたら
あとでじっくり反芻できるのにな~と思います。
というわけで、私のような記憶能力の低い者のためにも、
エレカシのライブはもったいぶらないでじゃんじゃんDVD化していただきたい、と切に願うのであります。
※引用は全てエレファントカシマシの楽曲です。