エレカシ・宮本ソロ_キーワード

グロテスク(フェリーニ「道」を観た宮本さんの話)

なんだか妙なタイトルになってしまいました。

宮本「すっごい辛辣なことをものの見事に真っ正面から取り上げてとかするんですね、名画って。それはすごい勇気100倍になっちゃったんですね。グロテスクなことがちゃんと表現されていると実はすごいポップに、ドカーンとみんなに届くっていう。それはすごい衝撃でしたね」

bridge vol.72 SUMMER 2012




これ、アルバム「MASTERPIECE」のインタビューで、
「約束」の話の流れから、映画の話になり、フェリーニの「道」がすごく面白かった、
と宮本さんは話し、上のコメントにつながるのですが。
この「グロテスク」という言葉がここのところ妙に気になっていました。

グロテスク。
たとえば、残酷という言葉にも言いかえられるのかもしれない。

君が僕の事見つめる目には ひとつの嘘さえも決してなかったのに
(エレファントカシマシ“リッスントゥザミュージック” 詞/宮本浩次)

エレカシだと、この曲が浮かんできます。
やっぱりすごいフレーズだなと今さらながら思います。
当時の「僕」は、その残酷さに無自覚な感じもする。
無自覚だった、もしくはうすうす気づいていたけど、気付いてないふりをした。
振り返り、それに気付かされたときのやりきれなさというのは
かきむしられるように残酷だし、本当に切ない。

逃げや言い訳。忘却。
いびつで、不条理なこと。
不可解な暴力。すれちがい。
日常の中の目を背けたくなるような現実。
音楽や映画はそこに焦点を結ぶ。

表現の中でそれらにリアリティがあるほど、心に突き刺さる。
日々の残酷さは作り手によってスケッチされ洗練され、うつくしい曲や映像ににパッケージされる。
グロテスクとは一見わからないすぐれたポップな表現はそうして私たちに届けられ、
繰り返す日常に寄り添い、生活を彩る。

宮本さんが言うところの「グロテスク」はきっと、
現実では目を逸らしたいし、認めたくないものだけど、
でも、本当のところは、表現者たちにすくいあげてもらうのを待ってるような気もします。
やっぱり救われたいのかなあと思う。

エレカシの「グロテスク」への焦点のあて方ははんぱじゃないので、
ときに「ウゥッ」とみぞおちに激烈パンチをくらったようになるけど、
その分比例するように感動の深さもすさまじかったりします。

どうしてここにきて急に、グロテスクなんて言葉が気になったんだろうか。
そういうモードなのかな。どんなモードだ。

—–
泉谷しげる×夏木マリの「ミュージック・ポートレイト」第2夜、見ました。

“俺は今を必死に生きる人々に歌いたい”――自分の歌が過去のものとされた80年代を超え、負けずに歌い続けた泉谷さんは、再び歌で時代とシンクロします。そしてかつての自分のように現実への怒りを歌う若い世代とも出会います――エレファントカシマシ

2014.04.17,24 NHK「ミュージック・ポートレイト」

とナレーションが入り、
≪くだらねえとつぶやいて≫と「今宵の月のように」が流れてきた時には
ぞくぞくっとしました。以下、泉谷さんのコメント。

泉谷しげる:≪くだらねえと≫っていう言葉ですごいなと。歌もうまいしね、コイツは。次の世代のヤツにヤキモチやけた自分がよかったのかなと。いろんなものを素敵だと思ってきたわけじゃない。いまだにそういうふうに思える相手がいたっていうことは……やっぱいつまでもヤキモチ焼いてたいじゃない。達観しちゃってさ、人は人、自分は自分、なんてなりようがないんだから

(同上)

泉谷さんの番組「翼なき野郎ども」に宮本さんがゲストで出演した時も、
泉谷さんは宮本さんに「お前は俺の憧れなんだからよぅ」とおっしゃってました。
「歌もうまいしね、コイツは」とコイツ呼ばわりなんだけど(笑)、
で、そういう相手にヤキモチ焼いていると、
そういうヤキモチをいつまでも焼きたいとさらりと言う泉谷さん、素敵です。ほんとかっこいい。

彼と一緒にライブとかやってね、テメーなんかに負けねえぞコノヤロウと思ってやってる瞬間が好きだなあ。ジャムセッション(JAPAN JAM 2011)というイベントやった時、思いっきり負けちゃって。コイツが良くて。勝ち負けじゃないんだけど。負けた自分も素敵、と思って(笑)

ちらっとJAPAN JAMの写真も映ってました。
「テメーなんかに負けねえぞコノヤロウ」って(笑)。
確かにあの時の泉谷さんのはじけ方は半端なかった。
あの時ばかりは宮本さんの方が大人に見えました(笑)。

次の曲はRCサクセションの「スローバラード」。
ぐっときました。何度聴いてもほんと染みる。

≪悪い予感のかけらもないさ≫
残酷な詞だと思う。残酷ではかなくていとおしい。
これもグロテスクでポップな曲なのかも。
このフレーズのひりひりするような存在感。
俯瞰した視点の冷徹さ。切ない。

2011年のJAPAN JAMで、宮本さんは「スローバラード」を歌いました。
ものすごい歌でした。歌そのものも本当にすごかったんですけど、
会場のあの静けさを、私は忘れることができません。
そこには何千人もいたのに、
本当に水を打ったようにシーンとして。
みな息をするのを忘れるくらい息を殺して、微動だにせず、
あの歌に聴き入っていました。
「ブン・ブン・ブン」も「雨上がりの夜空に」も盛り上がって最高によかったけど、
「スローバラード」のあの会場の空気感がいまだに忘れられない。
宮本浩次の歌に、歌に込める思いに、
会場中が打ちのめされていたような気がします。

—–
最近いろいろエレカシ情報ありました。
フェス出演が続々と発表されております。
中でもアラバキのTHE BACK HORNとのコラボは見てみたい!(行けないんですけど)

泉谷しげる泉谷さんもエレカシのことをとても好いてらっしゃるようで、イベントで共演したり、テレビ番組に宮本浩次をゲストで呼んだり、そのたびにブログで...

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