エレカシをめぐる”やさしさ”の話

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ブートレグBOXには、2つの“やさしさ”が入ってました。
Disc2の1995年11月30日渋谷クアトロと、
Disc3の1991年9月22日の日比谷野音です。



この2つのテイク、テンポが全然違っているのが面白かった。
クアトロの方が速くて、91年の野音はすごくゆっくりです。
原曲よりもかなり遅いんじゃないでしょうか。
エピックの頃はこれぐらいのテンポでやってたってことなのかなあ。
この遅さがかなりキます。ヤバいっす。極限の遅さ。テンポ感ひとつ変わるだけでこんなに迫り方が違うものなんですね。
詞ひとつひとつがより重くて、底知れぬ絶望感と、
それだけに≪そのやさしさ 俺だけに≫の叫びが異様に刺さってくる。

「かく語りき」の「やさしさ」がテーマの回で、
宮本さんは、やさしさって何という質問に、しばらく「……」と押し黙ったあと、
ようやく「人が好い人っていうのはいい」と答えてました。
「自分で言っといて何なんですけど、難しいテーマですね、抽象的っていうか」
たしかに。
人が好い人。自然と石くんが浮かんでしまいました。

ブートレグBOXのDisc4の“俺たちの明日”、2007年の大阪野音の録音ですけど、
一聴して、やさしい、と思いました。
弾き語りのせいもあるんでしょうか。歌う前の「照れます。一人で出てくるの」という語りも含めて。

“俺たちの明日”は、バンドで聴くと、元気が出る!とか明日もがんばる!とかそういう感じなんですけど、
この大阪野音の弾き語りは、バンドのそれとは違った表情を見せていて、やさしさがより前面に出ている感じで、とてもよかった。つぶやくように語りかけるように歌われる “俺たちの明日”。歌声があったかくて、会場を包み込むような感じ。

エレカシは≪疲れた時には孤独になれ≫(“クレッシェンド・デミネンド―陽気なる逃亡者―”)なんて歌うバンドなので、全然甘やかしてはくれないし、己と向き合えと(向き合いたくなくても)そう言われるし、
でもそういう人たちがふと見せる「やさしさ」というのは、その分嘘がないから余計染みてくるのです。

シングルの『俺たちの明日』にも、ボーナストラックで、アコースティックVER.が入ってます。

こちらは初回盤。
「四月の風」「悲しみの果て」「風に吹かれて」「ガストロンジャー」のライブ映像(2007年の日比谷野外音楽堂)を収録したDVD付。

※”俺たちの明日”の歌詞について誤りがありましたので、一部修正しました。大変失礼しました。2013/5/4 23:00
※後日追記。コメント欄で教えて頂いたのですが、Disc4の2曲目、大阪野音の”俺たちの明日”の弾き語りの3番の歌詞は、シングル『俺たちの明日』のボーナストラックのアコースティックバージョンで登場する詞でした。

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