エレカシ・宮本ソロ_キーワード

取材の空気

昔、週刊文春の「阿川佐和子のこの人に会いたい」に、
宮本さんが登場したことがありました。

アルバム「good morning」発売当時で、
「GLAYと共演したら、体の具合が悪くなっちゃいました」という見出し。
インタビュー後の阿川さんのコメント「一筆御礼」では、宮本さんのことを、
黙って立っている姿はハッとするほどの美少年系なのに、
一旦話し始めると豹変し、眉間にしわを寄せ、
考え込んで言葉を選ぶ姿はギリシャ時代の老哲学者を彷彿とさせる、
とコメント。



ギリシャ時代の老哲学者……哲学者はよくわからないけど、しかも「老」がついてるけど、
でも、なんとなくわかるような気もする。

bridge(2001 MAY vol.30)に「孤独な太陽」リリース時のインタビュー(聞き手は渋谷さん)が載ったとき、
編集後記に、

インタヴューの途中、『2人にしてもらえますか?』という宮本さんの言葉に一堂退出。渋谷と2人だけの濃密な時間が流れていたようですが……その中身は本文で
bridge(2001 MAY vol.30)編集後記

と書かれていました。
このインタヴュー自体は、「good morning」の頃の超ハイテンションモードも影をひそめ、
とても落ち着いたものだったんですけど、
「good morning」時代のことを振り返ってどうだったかみたいな話も中にはあり、
一見冷静に見えるやりとりにも、宮本さんの言葉にはうっすらと悶々が垣間見え、
なので、編集後記でこういう裏話を読むと、ちょっとどきっとするというか、生々しい緊張感が伝わってくるようでした。

2009年に宮本さんがTBSの「私の10のルール」という番組に出たとき、
取材を受ける場面が映っていました。
「宮本さんの中でどうですか?社会とか政治に対して」という記者の質問に対して、
宮本さん、返答に困ったのか、すごく長い間考え込んでしまいました。
目を閉じ、手で顔を覆い、その格好で固まってじっと動かない先生。
沈黙があまりにも長いので放送事故かと思ってしまった。
あとで計ってみたら30秒は経っていました。テレビで30秒は結構な時間ですよね。
沈黙を破って宮本さんの口から出た言葉は「僕はほんとに韓国で金大中大統領が…」。(そのあとはカット)
宮本浩次3つ目のルールは「よく考えてしゃべる」でした。

嘘は言わないようにしようというのはあるんです。生番組とかの中で、まとめるのがなかなか……どれを言ったらいいんだろうっていうのをすごく一番考えちゃうんですよね。だからラジオとかテレビとか取材とかのときは、相手との距離もさることながら、その向こうにいる人に、どういう風に言うと一番わかりやすいのかなっていうのを一応考えはしてるんですよ。結果的に全然錯綜してることが多いようなんですけど。結果的にね。
「私の10のルール」2009年5月12日

老哲学者、「2人にしてもらえませんか」、30秒の沈黙……
インタビュー時の宮本さんの素の一面を伝える3つのエピソード。
活字になった記事や、
テレビやラジオで時に冗談も交えながら語る宮本さんの姿とは、
また少し違った表情をとらえていて興味深かったです。
それは「嘘は言わない」という美学そのもので、自然こっちにも伝わってくるから、
頭もしゃもしゃしても多少錯綜してても、じっと聞き入ってしまうんだろうと思います。
「嘘は言わない」、これはエレカシの表現にきっと通じてて、
30秒の沈黙のような底知れない煩悶を何度も繰り返し、濾過され抽出された美しい曲たちは、
だから聴く者の心を掴んで離さないんだろうなと思います。

阿川佐和子のガハハのハ先日、週刊文春の「阿川佐和子のこの人に会いたい」のことを書いたのですが、 そういえばこれ、文庫本になってます。 だいぶいまさらな話で...

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