エレカシ・宮本ソロ_キーワード

時間

『町を見下ろす丘』に入っている“理想の朝”で、

少年は夏休みの図書館で退屈の正体を早くも悟り
エレファントカシマシ “理想の朝” 詞/宮本浩次

と出てきますが、
ほんとにもう、小学校の夏休みはどうしてあんなに長く感じたんだろうか。



私の場合は≪退屈の正体≫が何かわかるはずもなく、凍らせたチューチューばっかり食べてひたすらだらだらしてました。

時は流れ少年はやがて青年となり、

我が命尽きる/その日が来るまでに/時は我が血を吸い身を削り
エレファントカシマシ “偶成” 詞/宮本浩次

と歌うようになる。

さらに年を重ねて三十代半ばになった男は、

あと五分しか生きられぬのなら/今のこのオレをこえられるというの
エレファントカシマシ “風” 詞/宮本浩次

と歌います。

五分、と言えば、

あ出かけよう 五分先へ行こう/支配者たる時が 息の音を止めるまで
エレファントカシマシ “漂う人の性” 詞/宮本浩次

と歌われます。
同じ五分でも違ったニュアンスだなあ、と思ったけれど、
でも根っこのところでは同じことを言っているのかもしれない。という気もします。

『MASTERPIECE』収録の曲、

時間が無いんだ俺には
エレファントカシマシ “ココロをノックしてくれ” 詞/宮本浩次

というフレーズが……最初聴いたとき、なんというか、ドキッとしたというか。
もちろんいい曲だし大好きでしたけど、
この詞に感じたドキッの詳細はなんなんだろう、とボンヤリ考えていたら、
田家秀樹さんのラジオ(2012.5.26 NACK5 J-POP TALKIN’」)でこの曲の、まさにこの部分について触れていました。

≪時間が無い≫ということについて、
もちろん、曲の締め切りがあって、それに間に合わないというような物理的な時間の無さもあるけれど、でも、そういうのだけじゃなくて、実は時間というのはそんなにないんだということに気づく。無我夢中で歌ってた20歳の歌い手と46歳の歌い手の心情というのは25年分変わってきている、そういうところの時間のなさ、ギリギリな感じはあるけれど、そこで初めて気付くこともある(例えばメンバーの大切さとか)……と、
こんな感じで宮本さんは語っていました。
この数カ月後に活動休止になってしまうことを思うと、なんとも言えない切ない気持ちになるけれど、
でも、今の休止期間は渋谷さんがbridgeで言ってたみたいに、「神様から与えられた時間」ということなのかもしれないし、
音楽の神様がもしいるとしたら、これからもずっと長くロック歌手をやり続けたいなら、宮本よ、しばし休むのじゃ。
というようなことなのかもしれません。
このラジオの中で、宮本さんが時間についていろいろ話していたのが、
妙に印象に残っていて、一年前のオンエアでしたが、急に思い出したのでした。

久しぶりにこのラジオを聞いてみたら、いろいろ語られていて面白かったです。
田家さんの質問や切り返しがいい感じだし、
田家さんのお人柄もあると思うんですけど、宮本さんも全てをあずけて、安心して喋っているような気がします。
『MASTERPIECE』の曲についてのエピソードもてんこ盛りだし、少し脱線した話もたくさん――白鳥麗子のドラマ、忠犬ハチ公の絵ハガキの話なんかもあって、大変楽しめました。
インタビュー時のことが書かれた田家さんのブログ
http://takehideki.exblog.jp/15839172/

ちょうど去年の今頃なんですねえ。もうそろそろ『MASTERPIECE』が発売、トミの病気でツアー日程の変更はもう発表になってた頃かなあ。1年経つのかと思うとしみじみしてしまいます。

—–
余談。
是枝裕和監督の「そして父になる」がカンヌ映画祭で審査員賞をとったそうです。
是枝さんと言えば、エレカシのドキュメンタリー『扉の向こう』をプロデュースした人で、
エレカシにちなんだ方の活躍というのはなんとなくうれしいものです。
個人的には「幻の光」のときからずっと好きで見ている監督さんなので、とてもうれしいニュースでした。

エレカシ「化ケモノ青年」(MVと「扉の向こう」の話)昨日アップした「かわいいMV」の記事にいただいたコメントで、「化ケモノ青年」をおすすめいただき、たしかに、としみじみ思ったので、今日は”...

POSTED COMMENT

  1. じゅん より:

    こんにちは。五月の終わりにMASTERPIECE一周年記念とゆうことで、ここんとこずっと宝箱CDばっかり聴いていたけどMASTERPIECEを久々に聴き続けてみました。
    やっぱり一番リアルに最近の記憶が蘇るから辛くもあり、ああ~いまの声だ、これこれ。なんて想いもしながらやっぱり切なく(このところ最後は必ず切なく)なっています。

  2. ヨロレイン より:

    じゅんさん、
    わたしも宝箱CDばかり聴いてたんですけど、
    最近はほかのも聴くようになりました。
    「MASTERPIECE」、一周年ですねえ。一年前のアルバムリリース時の喧騒がなつかしいです。
    やっぱり直近のアルバムだけに、生々しくいろんなことが思い出されますよね。
    「ああ~いまの声だ」というの、とてもよくわかります。
    その時期その時期の声のトーンがあるんですよね。
    今日の帰り道はMASTERPIECEを聴きながら帰りました。

  3. じゅん より:

    こんにちは。
    わたしは逆にMASTERPIECE→風に変えて、昨日は風聴きながら帰宅しました(笑)
    わたしは、このころの「石くんの家で奥さんが仕事に行ってるあいだに作った」アルバムが特に大好きです!
    ブートへの登場が気のせいか少ないのようなのでこの辺りのライブ音源も出たら良いなぁと思っています。
    そういや明日は映画の詳細発表ですね!昨秋以降は日々が眈々と過ぎています。

  4. ヨロレイン より:

    じゅんさん、こんにちは。
    > わたしは、このころの「石くんの家で奥さんが仕事に行ってるあいだに作った」アルバムが特に大好きです!
    そうなんですか!奥さんが仕事入ってるあいだに!
    EMIのこの頃のアルバム、いいですよねえ。すごく。
    1枚1枚微妙にカラーが変化してて。聴き込むこほどに味わいがあっていいですよね。
    私も、ブートレグにこの頃の曲少なめかな~と思ってました。
    いつかこの辺のも出してくれるといいですね。
    私は今日は、突如、ブートレグが聴きたくなり、ディスク4を聴いて、
    またMASTERPIECEに戻りました^^
    映画の詳細発表がもうすぐ! どんな感じになるんでしょうかね。
    待ち遠しい♪ どきどきしますね~

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