“涙を流す男”、日比谷の野音で聴いたはずなのに、
昨日CD買って音源を聴いたときの感激といったら。
まるで初めて聴くかのようなテンションの高さで、我ながら幸せ者というか、なんというか、
あらためて聴いて曲の良さにほんと涙目になりました。
アメリカの景色が浮かびました。
エレカシの曲を聴いてアメリカを連想するって初めてです。
“ハロー New York!”って曲もありますが、
“涙を流す男”のアメリカは、南部で、乾いた砂が風に飛んでるような。
だだっ広い荒野のどこまでもまっすぐな道を、古い燃費の悪そうなアメ車が走ってる感じ。
そういう意味で新鮮でした。
全体にいなたい音で、途中スライドブリージャー(スライドギター)が入るからかなあ。
“Sky is blue”とかもスライドギター入ってるけど、
またちょっと違う感じで。
前奏からわしづかみです。ベースの入りのかっこいいこと。
ライブでバンドで初披露された日には、このイントロで黄色い歓声が上がるんじゃないでしょうか。
サウンド面、いろんなところで遊びがあって楽しいです。
なんていうんでしょう、冒頭からチキチキ鳴ってるあれ。
コーラスも軽妙な感じ。
それから何といってもギター。藤井謙二、エレカシレコーディング初参加。
イヤホンで聴いてると、右から左からギターの応酬であんなフレーズこんなフレーズ、
一曲でこんなにギターが堪能できるなんて、ギター好きにはたまらないです。
ストレートな明るいメロディが進んでいく中、
一転してエッジのきいた旋律が鋭く入る。
陽気に集うこの場所で
どうか俺を泣きたいだけ泣かせてくれよ ベイベー
エレファントカシマシ ”涙を流す男” 詞/宮本浩次
これ野音で歌ったんですよね。
なんというシチュエーション、なんという歌詞。
「どうか俺を泣きたいだけ泣かせてくれ」が
「どうか俺を野音で少しだけ歌わせてくれ」にリンクするような。
14日の野音にワープして”涙を流す男”の弾き語りをもう一度聴けないものでしょうか…
これだけ泣いてることがメインの曲は、エレカシでは珍しい気がします。
“涙”という曲は、
悲しいときには涙なんかこぼれない
エレファントカシマシ ”涙” 詞/宮本浩次
“涙”というタイトルであるにもかかわらず、泣いてない。
泣いてたとしても、抑制のきいた涙という感じで、またそこがエレカシらしくてよかったんですけど、
今回は泣くモード全開。しかも名曲。男シリーズに華々しく追加。
涙の甘さに心軽くなるから
エレファントカシマシ ”涙を流す男” 詞/宮本浩次
すごいフレーズ。一番びっくりした詞。
ストイックのかたまりみたいな先生が歌うから余計にぐっときます。
友よ、と語りかけるフレーズが好きです。特に、
友よ すぐに勇気を出したまえ
(同上)
ここが一番好きで、出したまえ、というところが絶妙なニュアンスですばらしい。
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シングルをこんなに気合い入れて聴くのは初めてです。
特に通常盤。
3曲、もっと言えば2曲だけですが、フルアルバムを通して聴くぐらいの濃ゆさとドラマがあるような気がします。