エレカシ・宮本ソロ_アルバム

カヴァーアルバム2を聴く(エレカシカバーアルバム第2弾 グループ魂、秦基弘ほか)

「エレファントカシマシ カヴァーアルバム 2」を聴いています。

グループ魂の「ふわふわ」、とりあえず電車の中で初聴きしたのはまずかった。
笑って吹きそうになってえらいことになりました。
冒頭、コントの設定は職務質問。

峯田氏との対談で、宮本さんが

「ひとりで歩いてて僕は職務質問になんか遭ったことないんですよ、一度も。でもギターの石くんと一緒にいるとしょっちゅう職務質問に遭うんですよ(笑)」

(ROCKIN’ON JAPAN 2007年11月号)

と言っていたことも頭をよぎりながら、
電車の中で口をぐっとつぼめて笑いをこらえるのに必死でした。
だいたい、この手のコントは何回か聴くと飽きてしまってシラけてしまうことも多いんだけど、
これは耐久性があるというか(笑)、聴くたびに新たなツボを刺激されます。
「とりざら」とか、最初はスルーしていたのに、あとから妙にジワジワきています。「確保! 確保!」とかもたまりません。

≪宮本巡査≫≪すっとこどっこいが!≫≪武蔵野≫≪森鴎外≫≪ファイティングマン≫などなど、コントの中にあふれんばかりのエレカシ小ネタ。面白すぎて泣きました。これは愛です。すばらしい。
コントが終わり、≪はい、どうも! こんばんは~!≫の雄叫びがあって演奏に突入、
なぜか「デーデ」のイントロで入るのですが、このギターリフのはじけ具合がすばらしい。
ギターの音までうれしそう。クドカンきっとここで口角上がってるんだろうなと思って、聴いててこっちまでうれしくなってしまう。
RO69の特設サイトで「全国のエレカシファンを敵に回すつもりで頑張りました」とコメントを締めくくっていた暴動でしたが、敵に回るどころか、グループ魂バージョンを生で見たいですよ。最高でした。

KenKenの「ガストロンジャー」。KenKenという方は全く知らなかったんですけど、今回一番びっくりしました。
音がカッコいいという意味で一番度肝抜かれました。
ラウドな音から一転して≪オーオーオー≫への流れは泣けました。さっきは笑いすぎて涙が出たけど、この「ガストロンジャー」はかっこよすぎて涙が出ます。

10-FEETの「今宵の月のように」、THE BACK HORNの「悲しみの果て」、秦基博の「風に吹かれて」。
エレカシの中でも王道中の王道の曲ですけど、どれも、てらいのない真っすぐな感じがとてもよかった。アレンジもほぼオリジナルに忠実で、だからこそ歌への思い入れが一層強く感じられたというか。

「悲しみの果て」は前半原曲と違うか。静かに始まって、ちょっと意表を突かれるけど、でもすぐに引きこまれる。まっすぐで正しいカヴァー。堂々として、凛としていました。
10-FEETのタクマさんは声が良くて、歌い方も好きです。俺はこの曲が好きなんだ! という思いがダイレクトに伝わってとてもすがすがしかった。ぶっといギターの刻みもすごくかっこいいです。
「風に吹かれて」のイントロのフレーズ、原曲だとギターだけど、秦さんバージョンだとベースなのですね。これがしびれる。ぐっとアーバンな感じ、洗練されてるというか。
秦さんの声で「風に吹かれて」。よくないはずがありません。秦さんの声も国宝級だと思います。
曽我部恵一の「デーデ」は、選曲が意外でした。もっとアコースティックな感じのをやるのかなと思ってたけど、
でもこの「デーデ」、いいです。跳ねるピアノと豪快なドラムが痛快な一曲。

アレンジでびっくりしたのはGOING UNDER GROUNDの「旅の途中」とCharaxTHE NOVEMBERSの「月夜の散歩」。
「旅の途中」は、最初、「え、これ何の曲だっけ?」ってちょっとわかんなかったです。
イントロでオリジナルにないメロディがついてて、これがぎゅーっと切なく美しい。松本さんの歌声もとても心地よくて、歌の中に風が吹き抜ける感じ。

「月夜の散歩」は、原曲が生成りの布だとすれば、Charaのはシフォンの生地。糸やビーズで品のいい刺繍がほどこされたシフォン。音の世界は幻想的で、川からたちのぼるけむりまで目に浮かぶようです。夢とうつつのはざまで、幸福感とそれゆえの孤独と無常感が、もう一気にどどどーっと迫ってくる感じ。
Charaのは化けるだろうな、とは思ってたけど、ここまで化けるとは!(←もちろんいい意味)

街の雑踏のSEで始まるtacicaの「リッスントゥザミュージック」。
ギターの刻みの音が粒立って、原曲とは違うけど、とてもいい空気感。
淡々とした日常の中で、ふと襲いくる悲しみ、という曲の持つメッセージが、tacicaバージョンだとより際立っているように思いました。突然入るつんざくような泣きのギターとか。音のメリハリが効いててドラマチックなアレンジ。
やっぱり名曲だなあ、これ。CDで、ライブで、弾き語りでやってもストリングスと一緒にやっても、何度もそう思わされた曲なのですが、またカヴァーによって太鼓判が押されてしまった。幸せな曲だなあと思います。

BRAHMANの「月の夜」。
今回のカヴァーの中で一番楽しみで、そして一番怖かったのがこの曲でした。
エピック期のヘビーな曲で、これを他の人がやったらどうなるのか、と思ったし、個人的にライブの印象も鮮烈でこびりついて離れない曲だったので。
でも、聴いたらそんなの吹っ飛びました。音的にはオリジナルとは違った角度のアプローチで潔かったし、TOSHI-LOWの歌は倦怠と絶望と怒りをたたえて、≪月の夜≫に一人立ちつくす男の姿が悲しいくらいに頭に浮かびました。
RO69サイトのコメントもすごくよかったです。2003年にオファーが来たのに断った経緯があったとのこと。「この曲を初めて聞いた15歳の俺は気に入るんじゃねえかな」という一言がほんとにいい。
ドキュメンタリー映画をまた見なくちゃと思いました。

最後はDragon Ash「さらば青春」。
Dragon Ash、Kjがこの曲をやると知った時点ですでに泣く準備はできていました。……ってちょっと大げさですね。
でもやっぱり2010年の「僕らの音楽」で、
宮本さんとDragon Ashの「ガストロンジャー」共演、Kjとのトークを見たこともあって、
エレカシ×Dragon Ashの関係にはぐっときてしまう部分がどうしてもあるのです。

2009年のイベントでエレカシと共演したKjは、それ以降の音楽活動に影響を受けるほどの衝撃を受けたそうで、
「僕らの音楽」のトークでは、Kjは宮本さんに

「たとえがアレかもしれないですけど、文武両道のまじめな好青年でも、殺人的な音楽を書けると思うんですよ。それが音楽だと思うんですけど。でも30年もやってれば全部してるでしょ。まだ景色見足りないとか、まだこんな曲書いてないっていう思いがあるんですか」

2010/12/24「僕らの音楽」

という問いを投げかけていました。
この時、こんな質問をしたKjの心理状態というのはいかなるものだったのか。
宮本さんからどんな答えをききだそうとしていたのか。
そんなことは本人にしかわからないけど、でも、表現者として何かしら煮詰まるというか岐路に立たされていた部分もあったのかなあと、ほんとに推測ですけど、なんとなく今になって思います。

そんなKjが「さらば青春」を歌うという。選曲の理由は「同じ様な気持ちを抱いているから」だという。
もう聴く前から涙目なわけです。
で、実際聴いて、そのすばらしさたるや、予想のはるか上を超えてきました。内臓にきます。細胞にしみます。
Dragon Ashバージョン、ほんとによくて、ひとつひとつ箇条書きにしたいくらいだけど、
「さらば青春」の場合、かえって興ざめしそうなので、あえてもやっとさせておくことにします。

「ガストロンジャー」共演のあと、Kjが言っていました。
「多分打ち合わせしたりとか、晩飯一緒に食わせてもらったりとか、酒を酌み交わす、アーチストだから10倍の濃度があるんですよね。いきなりジャムるっていうのは」
今回の場合カヴァーという形だけど、「さらば青春」を通した、濃密なコミュニケーションだという気がします。
この「さらば青春」を聴いて、エレカシは、宮本浩次は、一体どれほどのメッセージを受け取ったんだろう(他の曲もしかりですね)。
「さらば青春」ほんとにすばらしかったです。感動しました。

いいカヴァーを聴くと、原曲の良さを思い知らされます。そして新しい発見を与えてくれる。
楽曲の骨格の良さ、太さ、しなやかさが改めてわかります。曲の骨が脆ければ、カヴァーする方も遠慮すると思う。今回のカヴァーには遠慮がないです。
どのアーティストも自由に、そして全力でエレカシの曲に向き合ってるのがとてもよかったです。曲の強さがそうさせるのだと思います。

—–
野音DVDは週末じっくり見ようと思います。楽しみ。

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突然ですが、タイトルを変えました。今後ともよろしくお願いします。

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POSTED COMMENT

  1. じゅん より:

    こんばんは!トリビュートわたしもよく聴いています♪
    最初は、カバーはなぁ…(・へ・)って感じでスルーしてたんですが、
    レコード屋さんでフル視聴が出来たので聴いていて、
    (レコード屋で30分ぐらい聴いていました)←迷惑だ
    「月の夜」と「デーデ」と「ふわふわ」(ちょっと違う意味で)と「さらば青春」が買う決め手になりました!
    「ふわふわ」はもう最高ですね!愛しいですね!
    「さらば青春」はわたしも泣く準備が出来ていました。
    ちょびっと視聴がネットで出来た時もこの曲だけは買いたい、
    そんなことできないもんだろうか、なんて考えてました。
    宮本さんが「さらば青春」がほっんとに素晴らしいんですよ…って
    取り上げてたのが本当にわかりました。感動です!!
    いままでカバーってあまり好きになったことなかったんですけど、
    初めてカバーで感動する作品が出来たのです。これは事件です!!
    宮本巡査!!

  2. 侘助 より:

    じゅんさん、こんばんは♪
    トリビュート、いいですよね~愛聴してます。
    カバーはなあ……、っていうの、そうですよね、エレカシだと特に思いますよね。
    第1弾の時、私はまったく食指が動かなかったんですけど、
    自分が変わったのかなんなのか、
    今回は、絶対いいはず! とビビーンときたので、ずっと楽しみにしていたんです。
    「ふわふわ」、ほんと最高です。エピック臭だけじゃなく、EMI臭(武蔵野)もするのがすてきですね。
    もはやあのレベルになると、逆に気付けていない小ネタがあるんじゃないかと
    不安になるぐらいで(笑)
    「さらば青春」はほんと、涙涙ですよ。 
    宮本さん、すっごくうれしかったでしょうねえ。
    あれはほんとにいいですよね。
    Dragon Ashらしさ全開で、だからこそいいんでしょうけど、
    ほんと感動的なカバーだと思います。
    カバーがこんなにいいなんて、
    たしかにこれは事件ですね! 宮本巡査!

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