エレカシ・宮本ソロ_アルバム

『風』を聴く

なぜか今『風』にはまっています。

ぐるぐる繰り返し聴いています。何度聴いても飽きないです。
今の自分の波長と合うというんでしょうか、今とてもしっくりくるアルバムなのです。



20枚以上あるエレカシのアルバムを並べて見ると、
この『風』のジャケットのたたずまいは少し独特な感じがします。
絵?イラスト?っていうのが珍しいからかな。『生活』という強烈なインパクトのジャケットがありますが、またそれとも違った感じの……さりげなく炸裂(?)してるというか。すごくいいジャケットだと思います。
アルバムのクレジットを見ると、「Art Works 川原真由美」とありました。
http://www.kawaharam.com/01work/05ad/ad01.html
絵だけじゃなく、広告や装丁やいろいろやってらっしゃる方のようです。こういう絵、好きです。いいなあ。好きなタイプの絵。

『風』が発売された頃、私のエレカシ熱は平熱で(笑)、
もちろん“友達がいるのさ”なんかは当時から大好きでライブでも感激しながら聴いていたけれど、アルバムとしては、わりとさらっと流して聴いていました。
でも、不思議なもので、この『風』というアルバムは、時間をかけ、じわじわきました。
近頃は、数あるエレカシのアルバムの中でもかなり好きで。時期によってランキングは変わるんですけど、今はかなりの上位にきてます。

このアルバムは、すーっと入ってくる感じが好きです。
肩に力が入ってない、いい意味で入ってない、そういう曲もあったりして、
『DEAD OR ALIVE』、『俺の道』、『扉』と、EMIの中盤から立て続けに
密度の濃いヘビーなアルバムを連発してきた流れのあとで、
この『風』は、ギアチェンジしたかなーという感じがし、
ちょっとした軽み、もちろん軽薄という意味ではない、ナチュラルというか心地よい感じがこのアルバムにはあるような気がします。
“人間って何だ”とか、内面をえぐって正しくてリアルすぎるエレカシ節炸裂の曲ももちろんあって、そういうのも一緒に並んでいるところが、またいいと思います。

“夜と朝のあいだに・・・”の、

こんなに脆くも、人生やってくか。
ああ、解せないよ。生き方に、何か、きまり、あるかい?

エレファントカシマシ “夜と朝のあいだに・・・”

ここが好きで。いいなーここ。この曲、ほんとに好きです。
昔のインタビューを読むと、宮本さんはこの詞が書けたのが本当に嬉しかったようで、
どういう状況で詞ができたのか山崎さんにきかれた宮本さんは、こんなふうに答えてました。

「単に夜中に詞ができなくて、夜中に煮詰まって散歩して、家に帰ってきて。っていうだけの話なんだけど。それが成立したのがすげえ嬉しかったんだよな。レベルが低くて大変申し訳ないんだけど、自分の観念的な未来とか、観念的な絶望とかじゃなくて、今のそのままのことをちゃんと歌えたんですよ。観念の絶望じゃなくて、今のそのままのことをちゃんと歌えたんですよ。思ってることをストレートに歌ったら、それが深遠な哲学以上の感動を与えるっていう、そういう人にいつも憧れてるんですけど、自分の言葉でそれができるといいなっていう」

(ROCKIN’ ON JAPAN 2004年10月号 Vol.268)

「観念」という言葉が繰り返し出てくる。エレカシの「観念」の未来や絶望を歌った曲があったとすれば、私はそれも超絶にかっこいいと思うけど、
表現をする人というのは、こんな風にして、煮詰まりながら神経をすり減らしながらも、ひとつずつ発見をしていって、新しい表現を私たちに届けてくれるんだなあ、と、そういうところにもとても感じ入るものがありました。
“夜と朝のあいだに・・・”はフラットな感じがします。平易なことばが並んで親しみやすくて、
でも、ときおり、≪エッセンスでもいいぜ≫とか、ぎゅっとつかむ名フレーズもあって、
≪コンビニの電灯、異様にまぶしくて、目をそらした≫、たしかにこういう「観念」の絶望ではない、皮膚感覚の絶望みたいなものも歌われていたりして。

『風』は他にもいい曲が目白押し。てんこ盛りです。
“平成理想主義”は立体的な曲でかっこいいです。
エッジのきいたゴリゴリのギターサウンドから、しっとりした美しいメロディの≪月の浜辺≫の景色に切り替わる場面で、もうすっかりノックアウトなのであります。荒ぶったり、繊細だったり、一曲の中でもてあそばれ放題です。
“達者であれよ”は、3拍子? 変拍子? よくわかんないですけど、リズムが変わるところがツボです。
“DJ in my life”は何度聴いても謎めいていて、でも、聴いていると浮かびくるイメージはちゃんとあって。しみじみとココロにしみる名曲。
最後の“風”は、やっぱり2009年の『桜の花舞い上がる武道館』を思い出します。アンコールでやってくれました。DVDで観てても、このくだりはいつもぐっときてしまう。

“達者であれよ”が終わって、次はあれだな~と思いながら、≪おい≫と始まるとき。異様に盛り上がってしまいます。はい。“友達がいるのさ”です。
繰り返し聴いてて、わかっているのに、自分でも呆れるぐらい毎回新鮮な気持ちで盛り上がります。
なんなんだろう、この曲のポテンシャル。
ライブでこの曲をまた聴きたいなー、という思いがむくむくふくらんで仕方がありません。

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POSTED COMMENT

  1. ヨロレイン より:

    鍵コメさま。おひさしぶりです、こんにちは。
    ほんと名盤ですよね。
    この頃は半年ごとにアルバムリリースしていたので、
    すごく大変そうだったみたいですね。
    『風』はほんとに好きな曲だらけで愛聴してます^^

  2. じゅん より:

    わたしも大好きです。
    この曲。
    このころ先生はよく語尾をあげて歌われますが、
    特にこの曲の歌い方がキュートで
    メロディアスで最高だと思います。
    二度ほど抜け出せなくなってヘビロテしたことのある曲です。

  3. ヨロレイン より:

    じゅんさん、こんにちは。
    ”夜と朝のあいだに…”いいですよね。私も大好きです。
    歌い方もほんとにいいですねえ。
    ヘビロテしてしまう気持ち、よぉくわかります。
    午前三時に歩くことは日常的にはほとんどないんですけど、
    この曲を聴くと午前三時に外を歩きたい衝動にかられます。

  4. a より:

    はじめまして。いつも読ませてもらっています。私も夜と朝のあいだに…のその部分の歌詞が大好きなのでコメントさせていただきました^^
    達者であれよも、平成理想主義も大好きです。風はすごいアルバムですよね…!

  5. ヨロレイン より:

    aさん、はじめまして♪
    「夜と朝のあいだに…」、いいですよね^^
    私も大好きです。ほんとにいい曲ですよねえ。
    ≪エッセンスでもいいぜ≫もかなり大好きです。
    「風」はすごいアルバムですよね~! 最近あらためて感じてます。
    エレカシのアルバムはどれも聴き込むほどにあたらしい発見があっておもしろいです。

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