2025.9.28 《ライブレポ》日比谷野外大音楽堂(日比谷野音~The Final~俺たちの野音)

日比谷 野音 2025
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エレカシの野音、去年はなかったので、今年は2023年以来の開催。

今の野音が建て替えとなるため、今の野音(建物として3代目)としてラストとなる公演です。

目次

2025エレカシ野音|サポートメンバー

Key:細海魚

2025エレカシ野音|感想

雲は多いものの、ところどころに青空がのぞくさわやかな秋空。湿気もなくからっとした風が吹きわたる、最高の野音日和。

日比谷 野音 2025 ライブレポ

会場は、すごくシーーーンとしているわけでなく、仲間と会って再会を喜ぶ人、隣り合った初対面の人と雑談をする人、緊張感がありつつも、おだやかな雰囲気。

定刻17:00を数分過ぎた頃、しずしずとメンバーの皆さんが登場。皆さんスーツ。宮本さん、最初一瞬小さく笑顔。サポートギターなし。「お前の夢を見た(ふられた男)」までハンドマイク。シールドあり! 2曲目から魚さん入る。

1曲目は4人だけで「夢のちまた」。1曲目の曲、いろいろ考えたけど、やはりこの曲に尽きる。夕方のまだ明るさの残った日比谷の森に、石くんの単音リフ。はかない。その音で、理屈でなく体で「野音がはじまる」と感じ入る。続く「俺の道」。やばい。会場の熱が一気に上がる。

「太陽ギラギラ」。そうきたか。これを4人で。音数の少なさ。余白の迫力がはんぱない。

宮本さんがギターを持ち、「お前の夢を見た(ふられた男)」。うわー久しぶりなんなのなんなの、と私はうれしくなって胸元で合掌(笑) 終盤、吠えるような叫び。この曲に限らず、時々動物みたいな野性が出るミヤジの歌唱。

虫の鳴き声がものすごい。虫の音と風。THE 野音。

宮本さんははじまってわりとすぐにジャケットを脱いだけど「東京の空」や「今宵の月のように」ではジャケットを着用。これは近藤等則、渋谷陽一への何かしら想いがあるのでは? なんて思う。ないか。「東京の空」は近藤さん、「今宵の月のように」は渋谷さん。(まったく勝手な想像です)2013年の復活の野音で、宮本さんが「あなたへ」でシャツを着替えていて、お母様を想ってのことだったのかも、と今となっては思う。

「昔の侍」から「月の夜」へかけての流れが1部のハイライト。第1部はエピック曲中心。第2部の1曲目は「旅立ちの朝」。まっすぐな宮本さんの歌声はどこまでも伸びやか。一気に空気が澄み渡るよう。この曲は本当に野外が似合う。

硬派というか、”男”度が高いというか、今回はそういうセトリだった気がする。魂というか覚悟というか。簡単に使えない言葉ですけど。「昔の侍」、「東京の空」、「月の夜」、「男は行く」、「待つ男」……

そういう曲の間の「なぜだか、俺は祷ってゐた。」とか「星の降るような夜に」といった曲がまた沁みてくるわけで。《もうすぐ朝だな》からの音数が少なくなるところ、会場の待ってました!感。《もうタバコもきれたぜ》でキター!と会場はじける。またこれを野音で体験できてよかったとしみじみする。

「奴隷天国」。イントロのドラムに反応し、一気に沸き立つ客席。《あくびして死ね》の「死ね」の吐き捨て方がひどい。達者な役者だってそんな非情な言い回しなかなかできないと思う(笑) 「奴隷天国」は後半、《そこのおめえだよ》コーナーがあり、私はいまだにキャッキャできない。《そこのおめえだよ》と客席にメンチを切る宮本浩次は、まじで怖い。怖さで凍り付く。私の前方の数人も硬直状態。客をガチでびびり上がらせる宮本浩次、最高。

今の野音が最後だからナントカカントカという特別なMCはまるでなく進む。演奏と歌に込めて届ける。シンプル。エレカシらしい。

アンコールで一人でステージに現れた宮本浩次、アコギを手にし、男椅子に着席すると、照明が明るすぎると文句を言う(笑)照明が暗くなり宮本さんが見えなくなると、ステージから「え〜〜」と抗議の声。そんな照明プレイがひとしきり続いたあと、宮本さんが少ししゃべる。

「誰かが『野音の最後はエレカシで』と言ってくれて。俺たちはなんて幸せなバンドなんだろうって思っています」

「当たり前みたいにやってた野音だけど、こんなにみんなが野音という場所を愛していて、その場所で、こんな素晴らしいステージで自分たちができるなんて本当に夢にも思ってなかったんで。本当にエブリバディありがとうございます」

「ありがとう」と何度も言い、何度もお辞儀をして、感慨深げな宮本さん。

そして弾き語りで「涙」。私がエレカシを好きになりたての頃、衝撃を受けた曲。こういうかっこよさの種類があることを知った。何年経ってもたたずまいがちっともかわらない。裏切らない。

アンコールは4人だけで「待つ男」。最後、宮本さんが袖にいた魚さんを呼び込んで、5人でストーンズ風挨拶。魚さんとハグする時、宮本氏今日イチの笑顔。

MCはほぼなし。「笑顔の未来へ」で2回やり直した時と、メンバー紹介の時、「ひまつぶし人生」の前に「古くて新しい」と。「涙」の前。近年のライブはだいたいMCは少なめだが、中でも際立って少ないライブ。

ずっと風が吹いていた。公演中こんなに風が吹いていたのも珍しいと思う。

—-
野音が終わって、ひどく感傷的になってしまいました。
あの”野音”がなくなってしまうのか--

コンクリのシマシマの壁。
グレーの床 。
脱いで放り投げたブーツ。
男椅子。
嵐でびしょぬれになったけど、稲光がさし、「call & response」がめちゃめちゃかっこよかった2000年の野音。
「俺たちの明日」を2回やり、宮本さんが泣いていた2008年の野音。
2012年、宮本さんが病気で休止に入る前にやった野音は、アコギ弾き語りをメインに、自分の病気のこととか、友達みたいにMCでたくさん話してくれた。
翌年、復活の野音。袖から出てきたメンバーの姿を見てどれだけ嬉しかったか。
2019年は過去のサポートミュージシャンが一同に会しての野音。土方さんとの伝説の共演。
秋風の野音。嵐の野音。蒸し暑かった野音。
立ち見で全然見えなかった野音。コロナで配信で観た野音、映画館で観た野音。

建て替えだから、野音そのものがなくなるわけではないんだけれど、
あの”野音”での思い出がありすぎるのです。


私は、今回当選して中に入れました(2019年以来、6年ぶり!)。Bブロックのちょい成ちゃんより、久しぶりに見やすい席でした。

野音は10月から一旦休止となり、建て替えされます。2029年をメドに再開予定とのこと。2029年! あらためて思うと、本当にさびしい。野音は何かしらの形でやってほしい。ソロ活動が続いても、「野音だけはやってくれるはず」という一縷の望みもあったけど、野音が再開するまでは叶わない(泣)。

新しい野音は、音漏れしないよう防音壁が設置されるそうです。なんと! 余計なことを!(怒)だから、音がよく聴こえる外聴きはこれが最後ということにもなるのですね。いろいろ事情はあるんだろうけど、なんともさみしいかぎり。

外聴きの人数がすごかったです。植え込みの柵にはみっちり人が座り、持ち込みの椅子に座っている人、シートを敷いている人、会場の周りのありとあらゆるところに、外聴きの人々がスタンバイしていました。コロナ以降ずっと、外聴きはしないで、とお達しが出ていたので、外聴きが大っぴらにできるのは本当に久しぶりだったし、今の野音で最後のライブということで、エレカシファンはもちろん、”野音”に思い入れのあるいろんな人が集まったのだと思います。

ライブ後、友達と集合したけど、放心して、ぼーっとして会話もとぎれとぎれでした。ライブの後はいつもそうなるのだけど、今回は野音がしばらくないのだ、というさびしさもあり。友達とは、なんとかバンド活動を増やしてほしい、ということで意見は一致したけど、いかんせん、この問題はなかなかファンの一人や二人が強烈に念を送ったとしても叶う問題でもなく。

記録のために書いておくと、今年はソロ活動メインで、つい先だってもソロ名義でのタイアップ曲が続々発表されたばかりです。来年あたりソロアルバムが出る匂いがぷんぷんします。

とかなんとかぐだぐだ言って、レポをなかなか書ききれずにいると、ソロプロジェクトが新たに発表されました。

今の時点では、新プロジェクト始動ということだけで、詳細は発表されていません。バンド活動増やして!と念を送る前に、先に次の一手が発表されてしまい、うなだれています。でも宮本さんはやりたいことがいっぱいあるんだろうな。1日が48時間あったとしても足りないくらいなんだろうな。過去にとどまるのじゃなくて新しいことに挑戦したいんだろうな。でもバンドもやってね、というのが正直なところ。だっていい曲がいっぱいあるんだものーー(野音のあとますます思いをつのらせる一ファンであった)

・・・と記事をアップしようとしたら、なんと衝撃の公演(宮本浩次×キタダマキ×冨永義之)の発表が!!!!! 「!」がいくつあっても足りません! 9/30までのソロFC加入者が申込可能だそうです!!! ぜーぜー(息切れ)

日比谷 野音 2025 ライブレポ
野音の入口
日比谷 野音 2025 ライブレポ
野音入口右側から会場内をのぞむ(木の向こうに見える3代目野音)

SNSなど

公式X

細見魚X

鹿野淳X

尾花大輔インスタ

NHK科学文化部X(「おはよう日本」野音特集にエレカシ登場)

2025/9/28(日) 日比谷野外大音楽堂 2025 セットリスト
第1部
1.夢のちまた
2.俺の道
3.デーデ
4.星の砂
5.太陽ギラギラ
6.お前の夢を見た(ふられた男)
7.ひまつぶし人生
8.珍奇男
9.昔の侍
10.東京の空
11.月の夜
第2部
12.旅立ちの朝
13.友達がいるのさ
14.悲しみの果て
15.なぜだか、俺は祷ってゐた。
16.星の降るような夜に
17.今宵の月のように
18.yes. I. do
19.so many people
20.笑顔の未来へ
21.ズレてる方がいい
22.RAINBOW
23.奴隷天国
24.男は行く
25.ファイティングマン
アンコール
26.涙
27.待つ男
EKDBさんより

よかったら(^^)
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 侘助さま

    こんばんは。今年の新春の武道館の記事に初めてコメントさせていただいた者です。

    侘助さま、当選されたのですね!
    6年ぶりとのこと、良かったです。

    私は外聴きでしたー。

    お前の夢を見た!
    良かったですよね!!!
    ライブの後、侘助さんの以前のお前の夢を見たの記事を思い出して、早速読み返してましたよー。
    あの記事大好きです。すごく印象に残っている記事です。

    私はもう、「部屋をウロウロしてなきゃならない」ってとこが哀しくて死ぬほど好きです。

    外聴き終わって、ライブを配信であとから見たのですが、なんかもう大真面目に不器用な人なんですけど、ちゃっかりしたところも感じるし、なんとも魅力的な人です。
    エレカシ、4人が大好きだなぁー。

    私もバンド活動増やしてほしいって、ずーっとずーっと思っています。
    ソロをするのはもう宮本さんがしたいんだから仕方ないんだけど、
    エレカシのライブをもう少し増やしてくれたらなぁとか、アルバムも待ち望んでしまいます。

    仕方ないと思いながら、私も今日発表の、ソロプロジェクトに気がおかしくなりました。
    うう…

    もうとにかく待つのみなんですが。
    待つのは割と得意なんですが、そろそろほんとになんとも言えない気持ちになってます。

  • 侘助さま
    連投スミマセン。侘助さんの今回の投稿を何度も読ませていただき、あふれる気持ちが抑えられず、またコメントさせてもらってます。

    いろんな日比谷野音の思い出が溢れる投稿、素敵です。

    私はエレカシにどっぷりどっぷりハマったのは2011年で、悪魔ツアーの頃でした。
    関西住みなんですが、その頃の私は遠征が出来る環境になく、私の日比谷野音初体験は2013年の復活の野音のライブビューイングです。
    実際の日比谷野音に初めて行けたのは2019年でした。
    野音ライブは大坂城でやってくれる時は全て観れていたのですが(最近無くて寂しい)、
    日比谷野音でエレカシを観たい!っていう気持ちをずーっと持っていました。

    そのあと、2022年の日比谷野音にも幸運にもチケットが当選し、コロナ禍で拍手のみの静かな中で聴いた「偶成」の綺麗なメロディーに涙涙でした。あの曲、大好きです。
    そして今回の外聴きです。
    そんな数回の私でも、映像ではたくさん観ているし、非常に寂しく感じます。

    たくさんの野音の思い出をお持ちの侘助さんが、建て替え前の最後の野音公演を観られてほんとに良かったです。
    神様っているのですね。素晴らしい。

    今回、ほんとうに虫の声と風が心地よく吹いていましたねー。
    私もまだまだ放心しております。

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