エレカシ・宮本ソロ_曲タイトル

思い出すこと-お前の夢を見た(ふられた男)-

今日も振り返って一曲。
「お前の夢を見た(ふられた男)」です。

今年、日比谷の野音で演奏されて。わりと最初のころだったと思います。
あの、ギターの重い、重たい、不穏な響きのギターリフが鳴ったとき、
あぁ、これをやるのか。この曲をやるんだーと思って、
ほんとにもう、この曲が演奏されるというそれだけで
胸がいっぱいになったのでした。
エピックの曲をさかのぼり聴いていたころを思い出したりして。



あんまりライブでやらない曲です。
EKDBさんを見てみると、1992年の「5」がリリースされた年と、
1999年、2005年、2011年。

渋:これってライヴでやったりします?
宮:それが、やろうと思ってやるんですけどやっぱりちょっとキーが高すぎるっていうか、やっぱりどうしてもこのニュアンスが、ふられたニュアンスが出ないんですよねえ。僕凄い好きなんですけど、やっぱりできないんですよ。5枚目の頃はやりましたけど。
※宮:宮本浩次、渋:渋谷陽一

(bridge 1997年11月号 vol.16)

bridge199711.jpg
「宮本浩次が本当の愛を歌うまで」をテーマに、
渋谷さんがエレカシの10曲を選んで(最新の曲で「今宵の月のように」)、
1曲ずつのインタビューでした。

「ふられたニュアンス」。
アルバム「エレファントカシマシ5」の音源をあらためて聴いてみると、
たしかにニュアンス、すごいです。すごい歌唱です。
冒頭、

テレビをみてたら
お前の夢を見た
エレファントカシマシ「お前の夢を見た(ふられた男)」詞/宮本浩次

の《みてたら》の心もとなさ。
出だしの歌いっぷりが堂々たるものなだけに、
その一瞬の脆さというか、虚勢を張ってる中でぽろっと出てしまう弱さというか。

間奏がまたいいのです。コード展開が変わって。
かすれた裏声で歌われる《アーアー》、あれはもう、なんというか。
この《アーアー》にこの曲がすべてが詰まっているような気もする。

bridgeの記事の中で、
この曲の持つ意味はすごく大きくて、
ある意味で初めてラヴ・ソングが登場するのだ、と渋谷さんは言っていました。
そうか。1stの「やさしさ」という曲もあったりするけれど、
男女の恋愛、のことだけかというとそれだけじゃない感じだし、
「ある意味で初めてラヴ・ソング」というのは、なるほどそうかぁ、
と記事を読み返しながら思いました。

宮:例えば『猫が歩いてるねえ』とか『月が綺麗だねえ』とかそういう話をしてた人が急にいなくなったときのなんかそういう寂しさっていうのは、僕知らなかったの。寂しいどころか辛いみたいな、いても立ってもいられないみたいな、ほんとどうしようかと思ったんですよ。

(同上)

いても立ってもいられなかったと。ほんとに大変だったんだな。

虚実皮膜、という言葉をある人から教えてもらったことがあります。

【虚実皮膜】きょじつひにく
《「きょじつひまく」とも》近松門左衛門の芸術論で、芸の真実は虚構と現実との微妙なはざまにあるとするもの。
(大辞泉より)

この「お前の夢を見た(ふられた男)」の虚実皮膜の「膜」の薄さ、
これはもう、相当な薄さなんじゃないかっていうぐらい生々しい。
生傷の、皮がめくれて、触るとズキズキと血流の鼓動が波打つような。

ラブソング=切ない、という形容詞があるとすれば、
これは「切ない」の域にまで行ってない、
切なさまで行き着くには、ある程度時間が経って、それなりの整理ができて、
俯瞰して見れるくらいの距離感が必要な気がするけれど、
この曲は非常に直(じか)というか、
ゴロンとむき出しの悲しみが、
悲しみや孤独すら自覚できず把握できず
持て余すような茫然自失感が充満していて、
ほんとうにむせ返りそうになります。

宮:だって、どれだけ僕がそういう女の人に頼って生きてきたかっていうのが初めてわかりましたからね、こんとき。だって、”遁生”で《ペットのようなら飼ってもいい》とかって言っても黙ってた人がいたわけでしょ? ――まあそのあとにふられましたからやだったのかもしれないけども。
(同上)

1992年の曲ということは、曲を書いたときに25歳とか26歳ということか。
同じような失恋をしたとして、5歳若くても5歳年をとってても、
また違った感じの曲になったんだろうなあ。
しかし、いい曲だなあとあらためて思います。
いい曲っていっても、エレカシの曲の中では
個人的にはちょっと異質な肌触りのいい曲という感じ。

「テレビ」からいきなり「お前の夢」に飛躍するところがすごい。

あいだを書かない。寝るとかの一切の余計な描写なし。
テレビというのがリアルだし、
テレビという小道具だけで、登場人物の茫漠とした心もようが手に取るようにわかる。
楽しい夢かそうじゃないのか。
悲しい夢でも辛いし、楽しい夢でも辛いし。楽しければ楽しいほど残酷だし。

「お前の夢を見た(ふられた男)」
2011.05.22大阪国際会議場メインホール(グランキューブ大阪)
http://youtu.be/S3h_KZRt4H0 ※リンク切れ

ギターリフは宮本さんが弾いてます。
多分、6弦だと思いますけど、
1拍目のあの低いギターのビーーンという音が内蔵にくる。
もう理屈じゃなく生理的に突き刺さる。
ギターリフだけで半分ぐらい物語ってる。
名曲に名ギターリフありって感じがします。

—–
早くも明日から12月。
時間が経つのが早すぎておそろしい。
下北沢CLUB QUEは粛々と申し込み、粛々とはずれました。
水戸はチケット取りの段階から無理だったので行けず。
年末のイベントは参加しないので、次のライブは新春です。
12月のライブ行かれる方、めいっぱいたのしんできてください!

2010年12月24日にフジテレビの「僕らの音楽」で
Dragon AshのKjと対談した時に、QUEの話題が少し出ました。

Kj「下北でやってたんすね?」
宮本「契約が切れた時だから、2年ぐらい探してる時があったんですよ。27、8の頃の時だったと思うんですけど。そん時にQueとか、シェルターとか…そこにお客さんが来てくれるとすっごい嬉しかったんだよなあ、あれ」
Kj「見てえなあ、Queでエレカシとか!」

2010年12月24日 フジテレビ「僕らの音楽」

最後のセリフ、Kjのうしろで、「私も私も!」って感じです……
やる側も感慨深いでしょうし、いいライブになるでしょうねぇ

あっ。旬を過ぎた話題ですが、
Bowlineのタワレコポスターがすごいよかった。
http://tower.jp/nomusicnolife/2014/12
いい写真! もう、みんないい顔してる。
10-FEETも、サンボマスターの寝転び笑顔もいい笑顔。
みなさん、こんな表情できるってほんとうに素敵です。

2014.10.19 《エレカシ野音》日比谷野外大音楽堂(ライブレポ)2014.10.19 日比谷野外大音楽堂 セトリ 1. おはよう こんにちは 2. 悲しみの果て 3. 浮世の姿 4. ひまつぶ...

POSTED COMMENT

  1. yo より:

    はじめましてm(_ _)m
    「ふられたニュアンスが出ない」という言葉に感動しました。
    宮本さんの歌の表現力はほんとに凄すぎるのに、それでもご本人が再現するのが難しいと思うほどこの曲のエネルギーが最高な状態で収められている音源なんですね。
    曲によってはライブで歌う度に表現力が増していると思う曲もたくさんありますよね。
    きっと宮本さんは毎回ライブの度にすごく色んなことを考えぬいて選曲されるんでしょうね。
    貴重なインタビュー記事を読ませて頂いてほんとにありがとうございました!! これからも楽しみに拝見させて頂きますm(_ _)m

  2. 侘助 より:

    yoさん、はじめまして(^^)
    コメントありがとうございます。
    たしかに歌い重ねるごとに表現力が豊かになっていきますよね。
    ほんとにすごい歌い手ですよねぇ…
    ふられたニュアンス……微妙に再現するのが難しい曲なんでしょうね。そうならざるを得ない曲というか、曲がそれだけ繊細ということなんですかねぇ…
    日比谷でこの曲聴いて、ブリッジの記事を思い出してしまいました。なんか、この話はすごく印象的だったんですよね。
    選曲はほんとに練りに練ってやってくれてるのがわかるから、
    曲順、流れも含めてライブはほんとに毎回感動します。
    ぼちぼち超マイペースにやっていますが、
    こちらこそどうぞよろしくお願いします(^O^)

  3. nao より:

    初めまして。
    お前の夢を見た、私も野音で聴いて感動しました。
    興味深いインタビュー記事ありがとうございます!
    そしてブログ主様の曲の感じ方にも感激し、より一層この曲を好きになってしまいました。
    読みながらそうだよね〜!ってしみじみ共感しました^ ^
    「お前の夢を見た」だけでもう、すごい表現力だな〜と思います。
    先日QUEにいってきました。今は抜け殻です(笑)
    新春ライブに行けないので、しばらくサヨナラですがまた会える日を楽しみに頑張ります!
    また記事も楽しみにしています^ ^

  4. 侘助 より:

    naoさん、はじめまして♪
    「お前の夢を見た」、野音でごらんになってたんですね!
    イントロが鳴って、わーこれやるんだーと思ってほんとに感激しました。
    ブリッジの記事、すごく印象的だったんですよねぇ……
    いい曲ですよねほんとに。またいつか歌ってくれるといいですね~
    そしてそしてnaoさんはQUEに行かれたのですか!!
    う、う、うらやましい!
    すごくいいライブだったみたいで、ほんとよかったですね~
    エレカシには思い入れのある場所だし、
    やる側にとっても観る側にとってもいい余韻の残る素敵なステージだったんでしょうね。
    それにセトリがすばらしすぎてもう、もう~!って感じです。
    naoさん、武道館は残念だけど、また来年もツアーとかイベントとか
    きっとたくさん会えるチャンスがあるんじゃないかと思ってます♪(期待をこめて)

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