リアルタイムで、握りこぶしをぎゅうとしながら見て(エレカシのテレビはいつも緊張)、見終わって、しばし呆然となり、なんだなんだなんだったんだと我に返り、巻き戻してもう1回見たら変に覚醒してしまいランランと夜更かしをした月曜の夜。
みなさま、カバーズはどうでしたか?
私は翌日のお昼ごはん時、カップの味噌汁にお湯を注いでる時に突然《I will follow you あなたに ついてゆきたい》が降臨、それからずっと脳内をリピートしてました(仕事中もぐるぐる……カバーズ後遺症…)
4人のトークはほんとに楽しくて、ファミレスでナスビ一押しとか、石くんのお酒一滴も飲まないそれはウソ話とか、それに反応して笑うミヤジのタイミングが早すぎてそれもツボ、三人が爆笑してるそばでスン、と真顔な石くんおもしろすぎる、などと30分があっという間に過ぎていきました。
すごかったですね。「赤いスイートピー」。これはリリーさんが「極限のかわいさ」と熱弁したシングル。
「喝采」もよかった。
宮本さんは、いろいろ曲はあるけど、カバーするならこの曲にチャレンジしたかった、と言ってましたよね。高度な技術を要する曲とも。 歌い手としての血が騒ぐのでしょうか。
「喝采」は、大人っぽい感じがしました。石くんのトレモロなギターが渋い昭和な空気を放ってたし、歌の色っぽさったら……宮本さん、表現力の引き出し、一体どれだけあるんだろう。あのファルセットだけでもう泣けちゃいますね。
「喝采」は、歌の物語にもハマってるというか…男女の違いはあっても、歌い手という立場とか近いものがあってしっくり感がすごくあった。
そういう意味ではエレカシx「赤いスイートピー」というのは距離があるんですよね。リリーさんも「少女っぽい歌をエレカシが歌うのが一番意外」と言ってたし。本人は「そうですか?」と、「意外」と言われることが意外なようで…
本当に大好きなんですね宮本さんこの曲が。パネルの歌詞を指で追う宮本さん、前のめりがすぎます(笑)
宮本さんの口から曲名は時々出ていたので、選曲の意外性はあんまりなかったけど、どう歌うのか具体的には想像つきませんでした。
個人的にこの曲は、松田聖子ということでちょっとどうなんだろうあ……っていうのがあったかもしれない。正直に言うと。
いい曲だと思うけど、女子力が高すぎてどこか敬遠してしまうというかですね(笑)
しかし、カバーズ見てそれも吹っ飛んでしまった。
「赤いスイートピー」、やられてしまった……
私が男だったら、こういう女の人かわいいだろうなあ……なんて思ってしまいました。
三歩下がって的な歌のようでもあり、多分、それが敬遠してしまう理由だったのかもしれないんですけど、今回は、男の弱さも含めてすべてを見守る女の人という感じがしたんです。けなげというか。包容力があっていい女だと思わされるというか……この魔法はいったい……
私もリリーさんと同じく《あなたの生き方が好き》のところできちゃったなあ。最後にこのド直球フレーズを持ってくる松本隆……その剛速球に負けない宮本浩次の歌唱。両方すごすぎる。ちょっとメロディもイレギュラーな音の動きなのかな、それも合わさってぎゅっとなりました。《帰れない 帰れない》ってところ。
原曲のキーで歌ったそうですけど、キーの設定って大事なんですねえ。
あの声のギリギリの感じが、切ない中枢に直にきますねえ。
曲のエンディングで《スイートピー》と歌うところ、ながーーく声を伸ばして、しまいには息だけになって。エネルギーを1ミリ残らず出し尽くしたという感じで。
あの瞬間、歌の世界が幻になるというか。青春の美しい幻を俯瞰して歌っていたんだ、と最後に気づかされるというか。
だから切なかった。
原曲も切ないけど、もう少しハッピーが多めな気がする。エレカシの「赤いスイートピー」はより切なく感じて、それがすごくよかったです。
宮本さんが、歌えば歌うほど歌詞がしみこんでくる、と言っていたけど、今回あらためて聴いてほんとそうだった。《心の岸辺に咲いた》とか《線路のわきのつぼみは》とか《翼の生えたブーツで》とか《煙草の匂いのシャツ》とか、あらゆる角度からすみずみまですばらしい。
トークでも触れていた《何故 あなたが 時計をチラッと見るたび 泣きそうな気分になるの?》のところがもう。リリーさんの「妖精感がある。性別や生物を越えてる感じ」はほんとそうだと思いました。もろもろ超越したところからの目線というか、普遍性というか、それがやさしいというか切ないというか。
いやー「赤いスイートピー」の化学反応、ハンパなかった……恐るべしエレカシフィルター。
エレカシのカバー曲の中で一番度胆ぬかれたし、ほんとにすばらしかった。ぜひともライブで聴いてみたいです。
「悲しみの果て」「赤いスイートピー」「喝采」「俺たちの明日」。いい選曲でしたねえ。流れがよかったし、初エレカシの人にも、「悲しみの果て」ちょっと知ってるぐらいの方にも、カバーでぐっとエレカシが身近になったんじゃないでしょうかねえ。
トークコーナーも今回は4人での登場で、とってもいい感じだった。「1年6組」感満載でよかったなあ。
リリー・フランキー「僕、エレカシさんをずっとデビューした時からいつも見させて頂いてて、30年ぐらいやってると大御所感みたいなものを無理から出してくる人もいるでしょうけど、すごくみずみずしいというか、中学時代の話と今の話がさほど乖離してないというか、それは音楽もそうだし、バンドが醸し出してる雰囲気がすごくステキだなっていつも思ってるんですけどね」
NHK BS「The Covers」 2017.03.06
リリーさんのエレカシを見る目はほんとうにやさしい。エレカシxリリーさん、いくらでも見てられます。
リリーさん、今回もメンバーの素の表情や笑顔を引き出してくれてありがとう。愛あるトークのおかげだと思います。
最後のやりとりがまた印象的で、
宮本「鍛えなおしてもう1回やってまいりますんで」
リリー「頻繁にいらしてください」NHK BS「The Covers」 2017.03.06
「鍛えなおして」……宮本さん、アタマの中は音楽のことでいっぱいなんですねえ。
カバーズ、たのしい。また「頻繁に」お願いします。
